北米

2025.11.20 08:00

メタが独禁法裁判で勝訴、今後の政策に与える影響

米IT大手メタのロゴ。2025年4月26日撮影(Cheng Xin/Getty Images)

米IT大手メタのロゴ。2025年4月26日撮影(Cheng Xin/Getty Images)

米連邦取引委員会(FTC)が米IT大手メタ(旧フェイスブック)を反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えた裁判で、米連邦地方裁判所は18日、FTC側の主張を退けた。米連邦政府が提訴した訴訟で、大手IT企業が勝訴した初の事例となる。地裁のジェームズ・ボアズバーグ判事が下した判断は妥当かつ論理的であり、控訴審で覆される可能性は低い。

今回の決定は、IT企業を相手取った米国の今後の独禁法訴訟に影響を及ぼす可能性がある。これは、IT市場が近年著しく変化したため、FTCが裁判で提示したような制限的な市場定義を擁護することが困難になっていることを示唆している。特定の時点での限定的な条件に焦点を当てることで技術革新を阻害する独禁法訴訟は、より大きな経済的全体像を見逃す可能性がある。

事件の概要

FTCは2020年12月、46州と連携し、フェイスブックの親会社であるメタを提訴した。同委員会は、フェイスブックが当時競合していた対話アプリの「ワッツアップ」と画像共有アプリの「インスタグラム」を買収することで、ソーシャルネットワーク(SNS)市場を独占したと主張した。FTCは競争を回復させるため、フェイスブックに対し、ワッツアップとインスタグラムを第三者に売却するよう求めた。

数年にわたる手続き上の争いを経て、この事件は最終的に今年4月に裁判となった。ボアズバーグ判事の下、広範な証言と文書が審理された。同判事は18日、FTCが主張を立証できなかったとする判断を下した。

独禁法上の独占行為を認定するには、当該企業が(1)特定市場で「独占的支配力」(極めて大きな市場支配力)を有していることと(2)競合他社に損害を与える、あるいは新規参入者を市場から排除する傾向のある「排除的行為」(「事業上の正当性に基づくものではない」商業行為)を行ったことを立証する必要がある。

FTCが主張する「フェイスブックがワッツアップとインスタグラムを統合することでSNS分野の独占的地位を獲得した」という論点は、当初から問題を抱えていた。FTCは先にこれらの買収を分析し、競争を阻害するものではないと判断していた。

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翻訳・編集=安藤清香

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