反応は好意的だったものの、相手は大企業。まずは小さな協業からスタートした。両社は23年、ESG評価サービスの提供で提携。それが軌道に乗ったことを受けて翌年の24年、SMBCがアスエネへ出資した。そこからは毎週のミーティングで双方の進捗を確認しながら関係を着実に深めていく。その結果、3年越しにSustanaの事業承継が実現したのだ。
「時間をかけて思いも込めながら、一連のディールに取り組んできた。ここから1、2年で一気に海外展開を進めます」と西和田は強気だ。
アスエネは30年にクライメートテック領域でグローバルNo.1になることを目指している。それに向けて26年は、さらに欧米でのM&Aを加速させる。その戦略は堅実だ。西和田は、「社運を懸けるような博打はしない」と話す。
ここまで日本で4社のM&Aを実行したのも、ノウハウを蓄積してから米国企業のM&Aに挑むためだった。米国拠点を立ち上げた当初、責任者が1年半で3人代わるという苦い経験もあり、「そこでの学びは大きかった。M&Aで経営陣ごと獲得するほうが効率的だと考えたんです」。グループインした会社のPMI(経営統合プロセス)は順調で、すでに事業計画以上の成果を上げているという。
「日本発のスタートアップで、グローバルに成功した会社はほとんどありません。本気で取ろうという会社が増えないといけないし、我々自身がそれを体現していきたい」
西和田浩平◎慶應義塾大学商学部卒。三井物産で脱炭素・再生可能エネルギーの投資・M&A・海外事業開発を経験。ブラジル駐在時に省エネ分散型エネルギー企業買収後のPMIや事業拡大、M&A等に従事。2019年にアスエネを創業。


