起業家

2025.11.26 08:00

「日本の食産業を強くする」新しいロールアップM&A:加藤智治

加藤智治|まん福ホールディングス

さらにいえば、このロールアップの向こうに食のナショナルチェーンの構築があるわけでもない。「誰もが手間なく、早くつくれ、統一された単一の味」という効率化は、事業拡大には適しているが、「それでは日本の食産業を守れない」と加藤は考える。

advertisement

「日本の食の魅力であり強さは、各地の食文化であり、地域ごとの彩り。非効率に見えますが、“おらが町の味”を守ることが、結果的に日本全体の食産業を強くすると思うのです」。

地域ごとに事業承継をした企業をひとつの「共和国」にまとめ、各地の色を守る。この姿勢が共感を呼び、今では各地域の金融機関がこぞってまん福ホールディングスの支援に身を乗り出している。

新たなフェーズではプラットフォームを強化しながら、関西や中四国、北陸にも新たな「共和国」を建てる方針。近年、減り続けている調理師の育成にも乗り出す予定だという。

advertisement

「大変ですけど、やりがいがありますよ。自分自身は、今がいちばん成長している実感がある」という加藤。満を持しての起業から4年あまり。彼の挑戦はこれからが本番だ。

Forbes JAPAN」2026年1月号では、「日本の起業家ランキング 2026」のBEST10に選出された全起業家のインタビュー記事のほか、2026年の活躍が期待される注目の日本発スタートアップ100選、VC業界が注目する「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」、Forbes米国版が次なるユニコーン企業25社を選出した「NEXT BILLION-DOLLER STARTUPS」の最新版も掲載。スタートアップ・シーンの今と未来が見えてくる決定版として、内容盛りだくさんでお届けする。


加藤智治◎東京大学大学院卒業後、ドイツ銀行やマッキンゼーで金融・経営コンサルを経験。スシローやゼビオで経営改革・社長を務め、2021年まん福HD設立。カカクコム社外取締役。東大ウォリアーズクラブ代表理事を務める。

文=古賀寛明 写真=小田駿一 ヘアメイク=yoboon

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事