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2025.11.24 14:00

ジャック・ドーシーの決済企業Block、オープンソースの「Goose」を武器にAI企業に転進

Photo illustration by Cheng Xin/Getty Images

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フォーブスは11月18日、優れた最高技術責任者(CTO)、最高情報責任者(CIO)、最高情報セキュリティ責任者(CISO)を表彰する年次リスト「2025 CIO Next」を発表した。このリストには、50人の優れたリーダーが選ばれる。

本稿で紹介するダンジ・プラサンナ(44)もそのうちの1人だ。プラサンナは、独自に人工知能(AI)エージェントを構築できるオープンソースの仕組み「Goose(グース)」の開発を率いている。Gooseは、Databricks(データブリックス)やStripe(ストライプ)といった企業のエンジニアに利用され、すでに注目されている。

巨大なAI革命を予見し、Blockを最前線へ導くためダンジ・プラサンナをCTOに抜擢

フィンテック企業Block(ブロック)の共同創業者であるジャック・ドーシーは、2023年にChatGPTが公開されて間もない頃、会社の在り方を根本から見直すべきだと判断した。彼は、同社の主要サービスSquare(スクエア)のクレジットカードリーダー、デジタル決済アプリ「Cash App(キャッシュアップ)」といったビジネスの将来像を議論するため、毎週約40人の幹部を集めた。その参加者の1人が、Cash Appのエンジニアリング責任者を務めていたプラサンナだった。

「私たちは、どこに向かうべきかを探ろうとしていた」とプラサンナはフォーブスに語る。「ジャックは、“巨大なAI革命が迫っている”という強い予感を持っていて、Blockをその最前線に位置づけるにはどうすべきかを模索していた」。

だが、ChatGPTが数カ月前に登場したにもかかわらず、プラサンナによれば、当時はドーシー以外にAIの話をする人はほとんどいなかった。そこで彼は2023年10月、AIを本格的に捉え、大規模な投資に踏み切るべきだと提案するメモをドーシーに送った(このメモは未公開で、Blockはフォーブスとの共有を断った)。ドーシーはその内容に確信を持ち、翌月にはプラサンナの住むシドニーへ飛び、彼に会社のCTOの役職を打診した。

Blockの最優先事項は、社内のあらゆる業務の自動化

かつてはスクエアの社名で知られたBlockは2009年、インスタグラムやスナップ、エアビーアンドビー、インスタカートなどの企業が登場したWeb2.0時代のただ中で創業した。そして現在、AIブームがシリコンバレーの秩序を塗り替え、AI時代への適応が必須となる中で、Blockを次のステージへ導く役割はプラサンナが描くAIロードマップにかかっている。

その中でプラサンナは、テクノロジーとセキュリティ情報分野の優れた幹部を選出する「2025 Forbes CIO Next」リストに選ばれた。「AIは現在、これまでのどの技術的転換にも匹敵する“存在論的な局面”にある。Blockの最優先事項は、社内のあらゆる業務の自動化だ」と彼は語る。

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翻訳=上田裕資

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