独自AIエージェントを構築できる「Goose」を開発・運用、社内業務の自動化を推進
Blockがその自動化の実現に向けて最も重視しているのが「Goose」と呼ばれるソフトウェアだ。これは、チームがさまざまな業務向けに独自AIエージェントを構築できる仕組みで、その名称は映画『トップガン』のマーヴェリックの相棒「グース」にちなんでいる。プラサンナが昨年初めにGOサインを出し、現在はBlockの少人数チーム(最大で8人ほど)が開発・運用している。「少数精鋭で、規模以上の成果を出すチームだ」とプラサンナは言う。
Blockでは、とりわけ非技術系のチームが、このGooseを積極的に活用している。たとえば、エンタープライズ・リスク管理チームは、リスクアナリストとの面談などで数週間かかる作業を自動化するため、データ収集用のエージェントを構築した。財務・資金管理チームは、複数市場におけるビットコインのパフォーマンスなど投資状況を追跡するダッシュボードを作成した。そしてオープンソースであるため、Blockはこのツールを他の組織にも無償で提供している。決済インフラ大手のStripe、AIデータおよびストレージ企業のDatabricksといった名だたる企業のエンジニアたちも利用者に名を連ねている。
オープンソースへの貢献を理念とし、Gooseのソースコードを広く無償提供
Blockは、このツールに利用料を課すこともできたが、プラサンナによれば、オープンソースは同社の創業以来の重要な理念だった。同社はこれまで、グーグル、メタ、スポティファイなどがデータの保存・管理に使うMySQLへの貢献や、Lyft(リフト)が開発したアプリ内部でデータをさばく“交通整理役”として機能するプロトコルEnvoyへの貢献を続けてきた。Blockは、Gooseのようなツールを提供することでオープンソースコミュニティに恩返しをしたかったという。
Gooseは直接の収益を生まないものの、Blockの一部プロダクトを支える基盤になっている。その一例が、同社が先日発表した、Cash App内で稼働するエージェントの「Moneybot」だ。利用者はこのエージェントを用いて、自身のアカウント情報や取引履歴、支出傾向などを把握できる。


