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2025.11.25 09:00

バブル崩壊に備える投資家が注目、損失を回避する「バッファーETF」を生んだ起業家

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株式市場のバブルを警戒する声が高まる中、米イリノイ州ウィートンに拠点を置くInnovator Capital Management(イノベーター・キャピタル・マネジメント)は、強気相場に乗りながらも“シートベルトをしっかり締めて”おきたい投資家向けに、160本の上場投資信託(ETF)を用意している。

株価が歴史的な上昇を続ける一方、暴落の警戒感からMMFに過去最多の資金が滞留

株式市場はここ数年、熱狂的ともいえる上昇を続けている。金融危機直後の2009年にS&P500へ10万ドル(約1560万円。1ドル=156円換算)を投資していれば、現在は100万ドル(約1億6000万円)超に達している計算だ。しかし強気相場が突き進むほどに、暴落を心配する声も強まっている。セントルイス連邦準備銀行によれば、高い格付けの短期金融商品によって運用されるマネーマーケットファンド(MMF)には過去最多の7.5兆ドル(約1170兆円)が滞留しており、その額は5年前の4.8兆ドル(約748.8兆円)から57%増えている。

暴落を恐れる投資家に対し、下落リスクをヘッジする代わりに上昇益を限定するETFを提案

こうした不安を抱える投資家に対し、ブルース・ボンド(62)とジョン・サザード(56)が率いるInnovatorは独自の“処方箋”を示している。同社が運用資産280億ドル(約4.4兆円)を抱える「イノベーター・ファンド」で展開するのは、バブル対策を目的にした「バッファー(緩衝)ETF」だ。アドバイザーの間では「定義済みアウトカム型ファンド(defined-outcome funds)」とも呼ばれている。

このETFは、オプション契約を使って下落リスクをヘッジする見返りに上昇余地を抑えているが、安心感を優先する投資家には魅力的だ。

運用コストは割高との指摘、しかし資産を確実に守りたい投資家から支持を集める

InnovatorのETFで特に人気なのが「U.S. Equity Power Buffer ETF」シリーズだ。これはS&P500が1年間で被る最初の15%の下落を投資家に代わって吸収する代わりに、上昇側のリターンを現時点で最大13%に限定している。同社の運用資産残高は、2018年に最初のファンドを立ち上げて以降に急拡大した。運用成績がインデックスを下回り、運用コストもバンガードやブラックロックのS&P500 ETFなどのファンドの26倍も割高であるにもかかわらずだ。

さらにいえば、クオンツ運用のビリオネアのクリフ・アスネスのような投資分野の大物は、「バッファーETF(値上がり時の利益を制限する代わりに損失を和らげるファンド)と同様の下落耐性は、たとえば国債に30%、株式に70%といった配分でより安く再現できる」と批判している。

しかし、InnovatorのCEOのボンドは、「アスネスの指摘は的外れだ」と語る。特に、不安を抱える投資家が市場の外にとどまり続けている状況では、なおさらだと彼は主張する。

「ボウリングに行くとして、そのボールがあなたの老後資産を表しているとしよう。だったら、そのボールをしっかり守りたいと思うだろう」と、数十年もシカゴ郊外に住んでいながら、ルイジアナ訛りが残る彼は言う。「3本か4本しかピンを倒せないかもしれない。でも何本かは確実に倒せるやり方と、ボールを完全に失ってしまうかもしれないやり方のどちらがいいかという話だ」。

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翻訳=上田裕資

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