Netflix(ネットフリックス)で大ヒットとなった核を題材とした作品『ハウス・オブ・ダイナマイト』をめぐる議論が広がっている。まさにそれこそがキャスリン・ビグロー監督の狙いだった。この作品の結末があいまいだと不満を抱く観客もいれば、物語の「黒幕」が明かされない点に戸惑う声もある。
「私たちは、そのような声が上がることを最初から想定していた」とビグロー監督はネットフリックスが買収したハリウッドの歴史的映画館、エジプシャン・シアターで開かれたイベントで語った。アカデミー賞を2度受賞した同監督が「私たち」と呼ぶのは、脚本家のノア・オッペンハイムのことだ。
「もし“いわゆる”悪役をひとり設定してしまえば、観客はその人物を指さすだけで気が済んでしまう。だからこそ、あのあいまいさが本当に重要だった。私たちはこの問題に自分自身で責任を持たなければならない。これは単なるシミュレーションではないし、そうやって責任を免れるのはあまりにも簡単だ。結局のところ、あいまいさは必要不可欠だった。この作品は疑問を投げかける作品であり、私は観客たちにその疑問に向き合ってほしいと願っている」
この作品の物語自体はシンプルだ。米国に帰属不明のミサイルが1発発射され、いったい誰が撃ったのか、そしてどう対応すべきかをめぐる攻防が始まる。
イラクで爆弾処理にあたる米兵士を描いた『ハート・ロッカー』やビンラディン暗殺作戦の裏側を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』などで知られるビグロー監督によるこの作品には、大統領役のイドリス・エルバをはじめ、レベッカ・ファーガソン、ガブリエル・バッソ、ジャレッド・ハリス、トレイシー・レッツ、アンソニー・ラモスらが出演している。『ハウス・オブ・ダイナマイト』は現在ネットフリックスで配信中だ。



