ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイが、ついにグーグルの親会社「アルファベット」への投資に踏み切った。バークシャーが11月中旬に米証券取引委員会へ提出した保有銘柄報告書(フォーム13F)により、第3四半期に新たにアルファベット株を取得したことが明らかになった。
米国では、運用資産が1億ドル(約157億円。1ドル=157円換算)を超える機関投資家に対し、四半期ごとの保有銘柄の開示が義務付けられている。世界中の投資家は、この「フォーム13F」を通じてバフェットの相場観や戦略の変化を読み取ろうとする。そして今回特に目を引いたのがアルファベット株の購入だ。バフェットはかつて、アルファベットの高い収益性を認識しながらも投資機会を逃したことについて、「失敗した(I blew it)」と振り返っていた経緯がある。
本稿では、この最新ポートフォリオの詳細を分析する。進むアップル株の削減、記録的な規模に達した手元資金、そしてかつて見送ったグーグルへの投資開始。これらの動きから、バークシャーの現在の投資姿勢を読み解く。
情報開示:Glenview Trustは、バークシャー・ハザウェイ(BRK/A、BRK/B)株や他の本記事で言及された銘柄を保有している。筆者自身も長年、バークシャー・ハザウェイ株を保有しており、ウォーレン・バフェットが同社の会長兼CEOに就任した当時に、ソロモン・ブラザーズに勤務していた。
バフェットが過去の失敗を認め、ついにアルファベット株の取得に動く
ウォーレン・バフェットは2017年のバークシャー・ハザウェイ年次株主総会で、グーグル(アルファベット)への投資機会を逃したことについて次のように語っていた。
「私はグーグルの製品が機能しているのを見ていたし、どれだけ高い利益率かもわかっていた。ガイコ(自動車保険大手)は1クリックあたり10ドルか11ドルを支払っていたはずだ。クリックされても自分たちに実質的なコストはかからないというのは、本当に優れたビジネスだ。私は創業者たちを知っていたし、いくらでも質問したり、調べる機会もあったのに、チャンスを逃してしまった」。
バークシャー・ハザウェイ(BRK/A、BRK/B)は11月14日の取引終了後に、第3四半期の株式保有報告書「フォーム13F」を提出した。投資家はこの資料を通じて、バフェット、グレッグ・エイベル、ポートフォリオ運用の補佐役のトッド・コームズとテッド・ウェシュラーが、四半期に米国の上場株式ポートフォリオをどう動かしたのかを確認できる。バークシャーは多くの完全子会社を抱えているが、この報告書は同社が保有する米国株式の詳細のみを明らかにする。一方、完全子会社の幅広い事業の情報を含む四半期決算は、11月1日に公表されていた。



