アマゾン傘下のズークス(Zoox)は、ハンドルもミラーもペダルも持たない専用設計車両を用いた乗車サービスに、まだ料金を課していない。しかし、共同創業者のジェシー・レヴィンソンは、規制当局からの商業運行に向けた免除取得が近いと考えている。
アマゾン傘下ズークスのロボタクシー、サンフランシスコで無料運行開始
アマゾンの子会社で自動運転技術を開発するズークスは、ラスベガスでの運行開始に続き、専用設計のロボタクシーを用いた一般ユーザー向けの乗車サービスをサンフランシスコで提供開始した。ハンドルも、ミラーも、ペダルも持たない電動マイクロバンを用いたこの乗車サービスは、現在のところ無料で提供されている。しかしズークスは、この種の車両の運行に関わる初めての免除取得、そして来年の有料化を目指している。
NHTSAの適用免除で商業化を狙うズークス、パート555で年2500台体制へ
米国の自動車安全規則では、人間が運転する車両には標準的な操作装置のほか、フロントガラスやワイパーの設置が求められるが、AIが運転する車やトラックにそれらは不要である。ズークスはすでに運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)から、小型の路面電車のような自社車両を公道で走行し、無料の乗車サービスを提供するための許可を得ている。共同創業者でCTOのジェシー・レヴィンソンはフォーブスのインタビューに対し、いわゆる「パート555における適用免除」によって、将来的には数千台規模の商業化が可能だと述べた。
「それは来年になる」と彼は言う。「NHTSAとズークスは、従来型の手動操作装置を持たない我々独自の車両アーキテクチャに適した道筋を模索することで合意している。まず研究目的の免除から始めたが、これによって運賃を請求しない乗車サービスを提供できる。次のステップは商業免除であり、これにより運賃を請求でき、年間で最大2500台をリリースできるようになる」。
ウェイモとテスラが火花を散らす自動運転市場、米規制当局と新興勢の動き
競合のウェイモは迅速にロボタクシーサービスを複数都市へ拡大し、テスラを率いるイーロン・マスクも、同様の段階に近づいていると(その証拠は乏しいが)主張する。また、ウーバー、フォルクスワーゲン、リビアン、ニューロ、ルーシッド、モービルアイなどもロボタクシー市場への参入を急いでおり、連邦と州の規制当局は対応に追われている。もしズークスが承認を得れば、同社は業界の先頭を走るウェイモに一歩先んじることになるが、その直後には複数の競合が続くとみられる。
マスクは11月、2026年4月までに従来型操作装置を持たない自動運転車である「サイバーキャブ」の生産をテキサス州で開始すると発表した。しかし、NHTSAがフォーブスに語ったところによれば、テスラは現在の自動車安全基準に基づく当局への免除申請をまだ行っていない。



