LUXUSのエルメス・ファンドにおける基盤は、真贋の鑑定に対する熱心な取り組みである。そこで重要な役割を果たしているのが、同社で最高鑑定責任者を務めるグラハム・ウェッツバーガーだ。高級アクセサリーのリセール市場が急成長するにつれて、高品質な偽造品も急増していると、彼は説明する。「高級バッグの偽造品の中でも、エルメスの偽物の品質は群を抜いています」とウェッツバーガーは語る。「偽造品業者は、特にバーキンとその品質に多大な注意を払っています。昔はキャナル・ストリートの露天でブランド品のバッグを買うとき、それは偽物だと承知していましたが、今ではほとんどの偽造品がネットで販売されています。ネットの匿名性を利用し、偽造品業者はより多くのコストを掛けて精巧な偽物を製造することで、購入者を騙し、お買い得価格で売られている本物だと思わせるようになっています。コストを掛けて偽物を製造しても、4倍の儲けが得られますから。残念なことに、人々は偽物だと気づかずに、あるいは本物の画像だけを見せられて購入し、配達された偽物を受け取っているのです」
偽造品は見抜くことがますます難しくなっており、騙されることがより容易く、ありふれた状況になっていると、ウェッツバーガーは認める。本物を装ったバッグに大金を投じた友人たちに、それが偽物だと彼だけが指摘したことが、これまで何度もあった。偽物と見抜くことは難しいが、それでも隠し切れないわずかな証拠は確かに存在する。「偽造品業者の目的は、本物らしく見える物をはるかに安い値段で売り、そこから多くの儲けを得ることです」と彼は語る。「製造に掛けるコストには依然として差があり、本物のブランドの製造コストにはけっして及びません。製品の品質、素材や縫製の質や、外部の業者から調達する部品、つまりファスナー、スナップ、留め金、金属部品全般、そして言うまでもなく革の品質などに、本物と偽物には差があります。さらにブランディングや知的財産の扱い、商標を表記する場所や用い方などの細部にも違いが見られます」


