資産運用

2025.11.23 12:00

エルメスのバッグを「投資の対象」とするヘッジファンドが人気

エルメスのハンドバッグが投資の対象になる(Shutterstock.com)

エルメスのバッグがこれほど垂涎の的となる理由の1つは、常に入手が困難であるためだ。誰でも単にエルメスの店舗に足を運べばバーキンやケリーといったバッグを購入できるわけではない。エルメスに「選ばれた顧客」となる必要があるのだ。しかし、リセール品市場でこれは当てはまらない。LUXUSは購入するバッグを入念に選定している。「非常に入念に厳選して買い付けています」とオースランダーは言う。「バッグが完全な状態であることを確認します」。LUXUSが購入するバッグには2種類ある。1つめは一般的なブラックやベージュなどの色のバーキンとケリーで、これらは「Farfetch(ファーフェッチ)」や「1stDibs(ファーストディブズ)」など、複数の販売業者によってネットと実店舗の両方で販売されている。もう1つは、貴重な皮革を用いたエキゾチックレザー製のバッグや、特別注文で製作されたスペシャルティバッグで、これらはクリスティーズやサザビーズなどのオークションハウスで取引されている。

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オースランダーは今年7月にパリで開催された、ジェーン・バーキンが所有していたオリジナルのバーキン・バッグのオークションに出席した。その落札額は1010万ドル(当時の為替レートで14億7000万円)だった。「女性の収集品がオークションでこれほど注目を集めるなんて、信じられない光景を見ているようでした」と、彼女は語った。「ハンドバッグとしては史上最高額、ファッションアイテム全体では(ミュージカル映画『オズの魔法使い』でジュディ・ガーランドが演じた)ドロシーの靴に続く、史上2番目の高値でしたから、本当に興奮しました」

事情通たちは、このオークションの結果に驚かなかった。「この10年で、エルメスのバーキンやケリーに対する収集品資産としての認知は著しく高まっています」と、コフスキーは説明する。「オークションで記録された高値や価格高騰がメディアで報じられ、それによって新たな顧客や収集家が我々の開催するオークションに呼び寄せられるのを、私たちはクリスティーズの中で見てきました。二次流通市場の可視化において、インスタグラムやティックトックなどのソーシャルメディアは重要な役割を果たしています。コレクターやコンテンツクリエイターが、これらのSNSを通じて、市場の傾向やレアなアイテム、オークションにおける記録的な落札価格を取り上げることによって、人々の注目が集まるからです」

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翻訳=日下部博一

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