資産運用

2025.11.23 12:00

エルメスのバッグを「投資の対象」とするヘッジファンドが人気

エルメスのハンドバッグが投資の対象になる(Shutterstock.com)

エルメスのハンドバッグが投資の対象になる(Shutterstock.com)

ほとんどのヘッジファンドは、株式、債券、商品先物などを主な投資の対象としている。しかし、LUXUSには独自の投資対象がある。エルメスのハンドバックだ。

元ブラックストーン(世界最大級の代替投資運用会社)幹部のダナ・オースランダーが設立したLUXUSは、ベンチャーキャピタルの支援を受けた高級品投資を専門とするウェルステック(ハイテク資産運用)企業である。同社は最近、エルメスに特化した2本のファンドを新たに立ち上げた。これらのファンドでは、エルメスのハンドバッグ「バーキン」と「ケリー」を投資適格資産として扱う。

「私の情熱は、常に金融商品と代替投資の創出に注いできました。そして、それらは主にヘッジファンド、プライベートエクイティ、プライベートクレジットでした」と、オースランダーは語る。「しかし、私はずっとおしゃれな女性たちが大好きで、退屈なプライベートエクイティやヘッジファンドの世界にほんの少し楽しさを注入したいと考えていました。私の命題は非常に単純です。投資家とコレクターは本質的に同一ですから、同じやり方で彼らの要求に応じる必要があります。そして彼らは、自分が収集している資産に投資もしたいと望んでいます。それは芸術作品であったり、宝石であったり、あるいはエルメスであったりもするのです。信じてほしいのですが、エルメスを収集している人は本当に多いのです」

世界的オークションハウスのクリスティーズから支援を受け、世界初のエルメス専門投資ファンド戦略として、最初のファンドは5月に100万ドル(約1億5700万円)を調達し、平均43日の運用期間で34%の純投資収益率を達成した。膨大な需要を受けて創設された第二弾ファンドは200万ドル(約3億1400万円)を調達した。このエルメス特化ファンドは、今までステルスモードで運営されており、口コミで投資家を募ってきた。その発想は「エルメスのバッグは金と同じ様な価値を持つ」というものだ。

「二次流通(リユース品)市場において、エルメスのバーキンとケリーのハンドバッグには価値の持続性と上昇が明らかに見られます」と、クリスティーズでハンドバッグ・アクセサリー分野の国際部長を務めるレイチェル・コフスキーは言う。「過去10年間で、これらの価格は毎年平均約5%上昇してきました。コロナ禍の時期には需要が急増して価格は急騰。コロナ禍収束後に市場調整があったものの、価値はコロナ禍前を上回る水準に留まっています。ある種のデザインは流行や供給状況で価格が変動するものですが、エルメスのバーキンとケリーの二次流通市場における全体的な軌道は着実に上昇を続けています」

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翻訳=日下部博一

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