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2025.11.20 10:00

クアルコムのAI PC戦略 「テクノロジーのルーツが違う」Snapdragon Xが勢力図を変える

クアルコム日本法人のPCビジネス統括本部長、井田晶也氏にインタビューした

現在、第1世代のSnapdragon Xシリーズを搭載するモバイルPCは最上位のEliteと、価格的にも競争力の高いSnapdragon X Plusを採用するモデルが売れ筋だという。さらにX PlusにはCPUコアの構成が10コアと8コアのSoCがある。井田氏によると、それぞれのSoCを搭載するPCのユーザー像が明確に分かれているそうだ。

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「Snapdragonを搭載するPCはすべてがCopilot+ PCの要件に準拠しています。そのうえで、X Plus 8コアはメインストリームに訴求する製品であり、搭載するPCは価格的にも競争力があります。オフィス業務にも適している汎用性の高さが魅力です。X Plus 10コアについては、効率性とパワーのバランスが良いSoCです。クリエイティブな仕事に携わるプロシューマー、マルチタスクを必要とする一般的なタスク、そしてローカルAIでの軽いワークロードの処理にも適しています。最上位のX Eliteはクリエイターやエンジニアをターゲットにしています。写真のみならず動画の編集、3Dのレンダリング、その他負荷の高いAI処理などに高いパフォーマンスを必要とするプロユーザー向けの製品です。X Plus以上の製品を使っていただければ、PCゲーミングも快適に楽しめると思います」

写真はSnapdragon X2 Elite Extreme/X2 Eliteを搭載するモバイルPCのリファレンスモデル。2026年1月には多くのPCメーカーから商品が発表・発売される
写真はSnapdragon X2 Elite Extreme/X2 Eliteを搭載するモバイルPCのリファレンスモデル。2026年1月には多くのPCメーカーから商品が発表・発売される

今年9月に発表された次世代のSnapdragon X2 Eliteシリーズには、ラインナップの最上位に「X2 Elite Extreme」が加わった。X2世代では全ラインナップでNPU性能が従来45 TOPSから80 TOPSへと向上し、AIワークロードに対する処理能力が一段と拡大している。

その上にExtremeを加えた理由は、よりプロフェッショナルなニーズに応えるためであると井田氏が説く。通常のX2 Eliteのチップでも十分なクロックスピードを備えているが、上位のExtremeはArm互換のCPUとして初めて最大5.0GHzのクロックスピードを実現した。メモリ帯域も大幅に強化されている。「モバイルPCの枠を超えたワークステーションとしての選択肢になります。例えば大学の研究室などで特殊なシミュレーションを行ったり、とても高い負荷がかかる用途にも応える」と井田氏はExtremeの存在意義を強調した。

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編集=安井克至

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