社長の趣味といえば「ゴルフ」。しかしそのイメージはここ数年で様変わりしつつあるようだ。
帝国データバンクは、信用調査報告書「CCR」(200万社収録)など自社データベースから分析可能な各年約25~27万社のうち、企業の代表者の趣味が判明している約10万社について調査・分析を行った。その結果、特に若い世代ほどゴルフを趣味に選ぶ割合が低下しており、社長の趣味は確実に多様化へ向かっていることがわかった。

「ゴルフ」5年でゆるやかに変化
全年代で「趣味はゴルフ」がトップではあったものの、その割合・2位以下の変化は際立つものがあった。70代の社長ではゴルフの割合が過半数を占める一方、30代以下では3割を下回るなど若い世代ほどゴルフ離れが進んでいたのだ。若手社長の趣味では「サッカー」が2位に、次に「野球」が続き、「アウトドア」「オートバイ」「トレーニング」の割合も上昇傾向が見られた。他にも映画やアニメ、IT関連、ゲームなどのインドア系の趣味も年配層に比べて相対的に高く、若手の社長ほど幅広い趣味をもつ傾向がみられた。

接待文化の移ろいを映す、趣味の変化
一方、50代以上の社長では従来型の趣味が安定して上位に並んだ。ゴルフのほか「読書」「釣り」が多く、特に「ゴルフと読書」は年齢が上がるほど割合も上昇する傾向にあった。さらに、50代から70代にかけてはスキー・スノーボードなどの「ウィンタースポーツ」が高い順位を保っており、1970~80年代のスキーブームを経験した世代的な特徴もうかがえる。
こうした年代差の背景には、ビジネス環境の変化が影響しているように思う。ゴルフは長らく社交や商談の場として活用されてきたが、若手社長ではその必要性が低下していることが考えられる。オンラインでの交流やSNSなどコミュニティ型のつながりが増え、かつてのように趣味の場を商談に使う文化は縮小傾向にある。若手社長の趣味にサッカーやアウトドア、オートバイなど「接待につながらない活動」が増えている点はその象徴だ。趣味の多様化は、趣味が「ビジネスのための場」から「個人の純粋な楽しみ」へと回帰していることを示している。
趣味の選択肢が広がるいま、社長の趣味の動向を追うことは、ビジネス界のトレンドを理解する手がかりにもなり得るだろう。



