経済・社会

2025.11.26 08:15

トランプの和平案 ウクライナが決して呑んではいけない理由

10月16日、ウクライナ第152独立擲弾兵旅団の砲兵隊員がポクロウシク近郊で活動する。米国製M-114榴弾砲は、ロシアによる全面侵攻開始後、チェコ共和国からウクライナへ供与された。 (Photo by Marharyta Fal/Frontliner/Getty Images)

高田氏はウクライナの第二の戦略として、長射程兵器によるロシア領内深部への攻撃を挙げる。トランプ氏はトマホーク巡航ミサイルのウクライナへの提供を見送ったが、ウクライナ軍参謀本部は10月、英国の空中発射型巡航ミサイル「ストーム・シャドー」(射程約500キロ)でロシア西部ブリャンスク州の軍需工場を攻撃したと発表した。ウクライナは国産の巡航ミサイル「フラミンゴ」(射程約3000キロ)で、11月13日にロシア側戦略拠点を攻撃したとも発表している。米国の支援が途切れても、ウクライナは欧州諸国が提供する長射程兵器に望みを託すかもしれない。

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高田氏は「戦闘状況は圧倒的にロシアに有利であることは間違いない」と語る一方、「ただ、ゼレンスキー大統領が絶望するのはまだ早い」とする。逆に、トランプ氏が無理やり、今回の和平案を成立させれば、ウクライナはせっかくドネツク州に築いた強固な防御線を失い、ロシアからの将来の脅威に直面することになる。

高田氏は、西側諸国はウクライナを絶望させないためにも結束し、支援を続けるとともに、中国やインドなどとロシアとの原油取引などを牽制して、ロシアの継戦意欲をくじく努力をすべきだと指摘する。高田氏は和平案について「ゼレンスキー大統領率いる与党の大規模な汚職スキャンダルのタイミングで公表された和平案は、ウクライナの政治指導部とウクライナ軍に深刻な亀裂を与え、ロシアに対して有利に働く可能性もある。一方で、一貫してウクライナ軍の武装解除を主張してきたロシアに対し、本和平案は60万人への削減を提示するとともに、長距離兵器の開発・使用についても制限を設けていないなど、少なからず、ウクライナに配慮した姿勢も見て取れる」とも語る。

高田氏は「ウクライナ戦争は、日本にとって対岸の火事ではない。ロシアの勝利を許してしまえば、『自由、民主主義、人権、法の支配』という我々が信じて疑わなかった普遍的な価値観を『力による現状変更』が凌駕する現実を国際社会に知らしめることとなり、結果として、中国が台湾の武力統一に向けて意を強くすることにもなりかねない。日本も積極的にウクライナ支援に加わり続けるべきだ」と語った。

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文=牧野愛博

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