テクノロジー

2025.11.19 11:30

EFFがVPNを禁止する法案に警告──「すべての人にとって災厄になる」

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EFF「これは実際に進行中であり、すべての人にとって災厄になる」

「これは実際に進行中であり、すべての人にとって災厄になる」とEFFはこの「プライバシーの悪夢」について語る。ウェブサイトに対して「ウィスコンシン州のVPNユーザーをブロックせよ」と求めるのは「技術的に不可能なことを要求している」。「ウェブサイトには、VPN接続がミルウォーキー、ミシガン、ムンバイのどこから来ているのかを判別する方法がない」のだ。

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この点に関する誤解こそが、ポルノ禁止を無意味にする。EFFはこうも指摘する。「技術はそのようには動作しない」。

Pornhubによる例も挙げておこう。英国のユーザーは77%減少した一方で、英国市民1000万人が突如VPNをインストールし、別の場所にいるふりをするようになったという。

では次に、何が起きるのか? 「この法案の対象となるウェブサイトは、ウィスコンシン州での運営を停止するか、すべてのVPNユーザーをブロックするか、二者択一を迫られる」。つまり「1つの州のひどい法律が、インターネット全体のVPNアクセスを壊そうとしている」のであり、「この条項の意図せざる結果は、理論上の便益をはるかに上回り得る」ということだ。

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世界中の政府は「安全という衣をまとった監視」に味をしめている

続報を注視したい。世界中の政府は、EFFが「安全という衣をまとった監視」と表現するものに味をしめている。重大犯罪やテロでさえ、強権的措置が正当だと世論を納得させることはできなかった。そこで、これら新しい規制のすべてにオンラインの児童保護というラベルが貼られることになった。それには反論しにくい。

「『子どもをオンラインでどう守るか』への答えは、『みんなのプライバシーを破壊すること』ではない」とEFFは言う。ここが要点である。これは熟慮されていない。米国でのVPN禁止、英国のiCloudユーザーを中国のユーザーよりも不利な立場に置くこと、欧州でスマートフォンから送信されるすべてのメッセージを送信前にスキャンすること──いずれも過去なら考えられなかった糸を政府が引き始めている。

残念ながら、近道は存在しない。だが、どのような正しい解決策があるにせよ、「合法的なコンテンツにアクセスするために人々に身分証の提示を強制すること」ではなく、ましてや「記者、活動家、虐待被害者を守るツールへのアクセスを禁止すること」ではない。

個人のプライバシーの抑制は、少しずつ進む。監視に貪欲な立法者たちは、欧州の「チャットコントロール」(メッセージ監視制度)で見たように、いくつかの戦いでは勝ったり負けたりするだろう。だが進行方向──すなわち、苦労して獲得してきた保護の徐々の侵食──こそが戦いの本質である。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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