このように情報プラットフォームをつくって利用側の市場開拓に乗り出しているものの、福代は「ビジネスとして大きいのは、やはりサービス側よりインフラ側なんです」と明かす。
「私たちは衛星メーカーと思われがちですが、実際はシステムインテグレーター。イメージしてほしいのはFAシステムを手がけるキーエンスです。FAは工場のどこにどんな機器を置いて、どうデータを取るといいか設計しますが、私たちはそれを地球や月の規模でやっていて、そのビジネスが大きい」
例えば月の測位インフラがそうだ。今後、月面ではエネルギー開発や建設といったさまざまな経済活動が見込まれる。ローバー(探索車)が自動走行するには月版のGPSのような位置情報を測位する衛星インフラが必要になる。同社はJAXAの宇宙戦略基金でこの技術の事業者として採択。月測位インフラの事業規模は50億円。ほかにもNEDOに採択された次世代海上インフラは100億円規模と、確かに衛星インフラ構築は大きな成長エンジンになる。これまでの累計受注・採択総額は320億円超。福代は「海上と月のプロジェクトで実績をつくって、2030年には年間の売り上げ1000億円を目指す」と意気込む。課題はスピードだ。

「普通は失敗が怖いから数億円かけて入念に準備するところを、例えば、イーロン・マスクだったら1000万円ぐらいですぐ挑戦するでしょう。当然失敗もしますが、最小限のコストでできることがわかり、『次は2000万円で』とまた挑戦する。このチキンレースを恐れていると世界で勝てません」
アークエッジ・スペースはギリギリのところを攻められるのか。そう問うと、福代はニヤリと笑った。
「サバイバルは得意。失敗して生き延びる自信があるから、果敢に攻めますよ」
福代孝良◎東京大学大学院修了後、JICA専門家として自然資源管理に従事。外務省を経て、内閣府にて宇宙分野の国際協力を推進。東京大学特任准教授、内閣府宇宙政策委員会専門委員を歴任後、アークエッジ・スペース設立。


