やりたいことがキャリアになる、「超・実践的教育」の場
ロブロックスが日本で躍進するもう一つの理由が、実践的な教育プラットフォームとしての顔だ。物理シミュレーションソフトウェアを用いた教育IT企業を経営していたデビッド・バスザッキ氏は、子供たちが創造性を発揮できるインタラクティブな空間を作るためにロブロックスを共同創業したという。CMOのジェレット・ウェスト氏は「ロブロックスは教育で礎を築いてきた」と言い、そのユニークな点として、ユーザーがただ座って楽しむだけのエンターテイメントではなく、能動的な環境が揃っていることをあげた。
例えば無料の公式開発ツール「Roblox Studio」では、ユーザーがコーディングやデザイン、パブリッシング(企画、開発、販売までの一連の活動)を学ぶことができ、AIを用いたテキストでの3D生成指示やコードアシスト機能も搭載。ロブロックスには制作をサポートするメンター制度もあり、ゲーム制作のハードルを下げている。
さらに、ユーザーはゲームのアクセス権やゲームアイテムなどの販売を通して、「Robux」というロブロックス専用の仮想通貨で報酬を受け取り、それを現金に換金できる(13歳以上の年齢制限、アカウント残高の制限あり)。
「今年の念頭、クリエイターに今後12カ月で10億ドル(約1500億円)の収益を還元できるようにすると発表したが、9カ月で実現できた。トップ1000のクリエイターは、平均110万ドル(約1億7000万円)を稼いでいる」(ウェスト氏)
ロブロックスを通してユーザーは、ソフトウェア開発をはじめとするSTEM(科学、技術、工学、数学)から、創造力やデザイン力、コミュニケーション力、プロジェクト管理力など、幅広いスキルを実践的に習得できる。
そうして日本から誕生したヒット作品は、ホラーゲームの『ペタペタ』やアクションゲームの『顔から逃げるゲーム』『ひみつのおるすばん』など複数ある。中でも『ペタペタ』は、ロブロックスを通してゲーム制作を学んだ個人クリエイターInu氏によって開発され、ユーザー訪問数が累計4億3900万回に到達。うち約80〜90%を海外ユーザーが占める。ロブロックスから収益を得た日本のクリエイター数は、過去2年間で(2022年第4四半期から2024年同期)415%急増している。
「やりたいことが実際、本当のキャリアになる、それを道として作れることが(ロブロックスの)強みだと思う」(加藤氏)
魔の手から我が子を守るため、親ができること
勢いに乗るロブロックスだが、若年ユーザーへの安全対策は喫緊の課題となっている。ロブロックスは前述の通り、若年層から大きな支持を得ているが、世界では、ロブロックスに関連した子供へのグルーミングや性的搾取などに関する問題が複数報じられている。
テキサス州のケン・パクストン司法長官は、ロブロックスが子供に及ぼす安全上のリスクを隠蔽していると、2025年11月6日に同社を訴えている。また、ケンタッキー州やルイジアナ州の司法長官も、若年層への安全対策の不備についてロブロックスを提訴している。


