自治体が“自前の事業”として商取引・購入サービスを展開できるプラットフォームを提供
Kaizenは、従来とは異なるアプローチによって地方政府や各種機関が自分たちの地域向けに複数の商取引・購入サービスを構築できるプラットフォームを提供し、新しいサービスをすべて“自前の事業”として展開できるようにしている。同社の顧客基盤は、2024年初めの事業開始以降、急速に拡大し、現在は17州の50の機関に広がっている。Kaizenは現在、さらなる成長のため、連邦政府機関や準公共部門の組織にも照準を合わせている。
レディCEOは、同社が実現したい取り組みの典型として、メリーランド州の案件を挙げている。Kaizenは同州の州立公園向けの新たな1日利用券のシステムを、立ち上げから60日足らずで導入し、入場ゲートのチケット購入のための渋滞を解消し、利用者の満足度を大幅に引き上げたという。「この取り組みは、公共アクセスを拡大し安全に確保するとともに、州有地への公平なアクセスを実現するうえで、私たちが実施した最も重要な改善の1つだ」と、メリーランド州天然資源局の土地資源担当次官ポール・ペディットは述べている。
売上高は1年で10倍に拡大、トランプ政権のデジタル投資も追い風となる見通し
こうした成功が積み重なり、Kaizenの売上高は過去1年で10倍に拡大し、現在30人の社員は、今後数カ月で50人規模に増えるという。トランプ政権が最近立ち上げた、エアビーアンドビー共同創業者のジョー・ゲビアが責任者を務める「ナショナル・デザイン・スタジオ」も、同社の追い風となる見通しだ。このプロジェクトは、数百に及ぶ連邦政府機関のデジタルサービスを近代化するための100億(約1.6兆円)規模の計画で、Kaizenにとって巨大な新機会をもたらす可能性がある。
一方でこうした動きは当然ながら、連邦政府との契約獲得を狙うテクノロジー企業やユーザー体験の専門企業による競争を一段と激しくする見通しだ。だが、Kaizenは、この分野で積み上げてきた実績が自社の優位性につながると考えている。
「政府向けの販売で最も重要なのは、最大の推奨者が政府自身だという点だ。次のつながりを生むうえで決定的な役割を果たすのは、既存の顧客だ」とレディは語る。
著名VCが参加するシリーズAで累計調達額は約55億円に到達、事業基盤を強化
追加の資金調達は、こうした基盤の上に事業を積み上げるうえで同社を後押しする。今回発表されたシリーズAによって、カイゼンの累計調達額は3500万ドル(約55億円)に達した。このラウンドはNEAがリードし、776やアクセル、a16z、カーペンター・キャピタルが参加した。今回の調達は、Accelとa16zのアメリカン・ダイナミズム部門が共同で主導したシードラウンドに続くものだ。
「公共サービスは、米国のみで毎日数億人に影響を与えている。それにもかかわらず、その技術は現代の消費者が当然のように期待するシームレスなデジタル体験から大きく遅れている」とNEAのパートナーであるアンドリュー・ショーンは指摘する。
a16zのゼネラルパートナー、キャサリン・ボイルは「Kaizenは、公園や交通、許認可などの私たちが日々利用する日常のシステムである基本的な公共サービスに焦点を当てている。この明確な使命が、彼らの成長を加速させている」と語った。


