4. AI倫理
AIは莫大な利益をもたらす可能性がある一方で、重大な危害を引き起こすリスクもはらむ。そのリスクを緩和するためには、AIを透明、公平、安全、説明可能な状態に保ち、説明責任を果たす形で運用することが不可欠だ。
パソコンの普及やインターネットの登場など、過去の技術革新においては、リスク管理はIT部門に委ねられ、ファイアウォールやウイルス対策の導入が中心だった。
しかしAIは、顧客のプライバシーや雇用の安定性に深く関わり、まだ予測できない多数のリスクも伴う。そのため、AIを常に安全かつ倫理的に使用することは、あらゆるリーダーが担うべき課題となる。
5. データコミュニケーション
データ分析から得られる洞察と実行可能な戦略を伝える能力は、2026年のリーダーにとって極めて重要になる。特に、リーダーは「データが何を示しているか」だけでなく、「なぜその結果になっているのか」を説明できなければならない。
AIは意思決定の理由を説明してくれるだろうか? ある程度は可能だろう。しかし、洞察が人々に与える影響を機械が正確に理解できるようになるには時間がかかるため、この責任は2026年時点では依然として人間側に残る。
6. サイバーセキュリティ戦略
テクノロジーがビジネス成長の原動力となるにつれ、その戦略と管理責任はIT部門だけのものではなくなる。サイバーセキュリティの分野では、特にその傾向が強い。
サイバー攻撃はその規模・頻度ともに増加しており、企業がテクノロジーに依存するほど脆弱性は増す。リーダーの役割は、脅威への意識を自然な習慣として組織全体に浸透させる「セキュリティ第一の文化」を形成することだ。
これは、ソーシャルエンジニアリング攻撃や、ディープフェイクを用いたフィッシング詐欺などへの理解を深めることに加え、あらゆる意思決定のセキュリティ面を評価し、悪意ある者に隙を与えないようにすることを意味する。
7. ワークフォースプランニング
エージェント型の知性を持つ「同僚」が職場に入ってくることで、どのタスクを自動化すべきか、どのタスクを人間が担うべきかを理解することが、2026年における重要なスキルとなる。
ただし、効果的な人員計画とは単なる効率化を意味する訳ではない。人間を「置き換える」のでなく「機械と協働する」ためのスキルやトレーニングを提供することが重要だ。
企業がメリットを得るためには、どのスキルを社内に残す必要があるかを慎重に検討しなければならない。同時に、人間の関与が不可欠な領域や、機械に任せることで逆に生産性、顧客体験、士気などを損なう可能性がある領域を見極めなければならない。


