だが境界線をルールと取り違えると、それとまったく同じ力の不均衡を生むことになる。この2つを混同すると、セルフケアやセラピーのための言葉を武器にしてしまう。さらに悪いのは、これが支配を正当化するために行われることだ。つまり、「境界線」という言葉だけなら進歩的に聞こえるかもしれないが、それをルールと誤って解釈することは最終的には後退だ。自律性を促進するために作られた言葉を、他人の自律性を制限するために使うことはできない。
この混同が修正されない場合、関係がどのように有害なものになるのかを説明しよう。
1. 感情の操作
あなたのルールが境界線として仕立てられている場合、パートナーはあなたの要求に抵抗することが、あなたの自律性の侵害であるかのように感じることがある。しかし実際には、パートナーは自分の主体性を保つために最善を尽くしているだけである可能性が高い。
例えば、「私の境界線は、あなたが他の女性と話すことができないこと」というのはまったく境界線ではない。どう呼ぼうと、それは単なる制約でしかない。このため、パートナーからの反発は「あなたの境界線を軽視している」のではなく、コントロールされることに抵抗しようとしていることを意味する。
このような混同が恋愛関係の中で頻繁に行われると、結果として非常に有害な（そして誤った）道徳的優位を得ることになる。一方のパートナーは感情的な正しさを主張するようになり、もう一方は単に自由を望むだけで思いやりのない人間として扱われることになる。
2. 反抗と引きこもり
現代のほとんどの恋愛関係は対等であろうと努力し、それぞれのニーズや好みを持つ2人の個人が一貫して歩み寄ろうと協力し合っている。しかし、一方のパートナーが「境界線」という名のもとに相手を取り締まり始めると、平等という感覚は失われてしまう。
やっていいことといけないこと、会っていい人といけない人、どう振る舞わなければならないかを言われることは、反発や引きこもりの感情を引き起こすことが多い。当然のことながら、人はパートナーから保護されているように感じたくないからだ。
この意味で、コントロールされていると感じれば感じるほど、結果として感情的に安全でなくなる。もちろん、皮肉なことにこれは本当の境界線がもたらすものと正反対だ。
