今回のコラムでは、OpenAIが最近公開したChatGPTの業務効率化プロンプトパックまたはパッケージに関連するプロンプトエンジニアリングの利点について検討します。この取り組みの狙いは、業務関連活動のための既製テンプレートを提供することで、より多くのユーザーが生成AIや大規模言語モデル（LLM）を仕事のタスク遂行に容易に活用できると認識してもらうことです。
また、自らをプロンプトエンジニアと考える人は誰でも、これらの最新プロンプトパックを把握しておくべきだと強く勧めます。必要に応じてこれらの便利なテンプレートを活用できるようになります。さらに、プロンプト作成スキルを磨き、プロンプトエンジニアリングに特に精通していないカジュアルユーザーを支援することも可能になるでしょう。
詳しく見ていきましょう。
このAIブレークスルーの分析は、私のフォーブスコラムで継続的に取り上げている最新AI動向の一部であり、様々な影響力のあるAIの複雑性を特定し説明しています（リンクはこちら）。
プロンプトエンジニアリングの基本
読者の皆さんは、私が以前に80以上のプロンプトエンジニアリング技術と手法について詳細に説明した記事を覚えているかもしれません（リンクはこちら）。経験豊富なプロンプトエンジニアは、研究され実証された幅広いプロンプト技術を学ぶことが、生成AIや大規模言語モデル（LLM）を最大限に活用する最良の方法だと理解しています。
プロンプトエンジニアリングにおける重要な考慮事項は、プロンプトの言葉遣いです。
有能なプロンプトエンジニアは、AIに何をしてほしいのかをLLMが理解できるよう、プロンプトを注意深く言葉で表現する必要があることを認識しています。時には、たった一言二言加えるだけで、AIがあなたの質問や指示をどう解釈するかが根本的に変わることがあります。生成AIはあなたがプロンプトで言うことに非常に敏感です。それはしばしば微妙な駆け引きになります。
さらに、潜在的なコストも関わってきます。つまり、LLMの使用に料金を支払っている場合、プロンプトがあなたのニーズに合っていなければ、LLMがあなたの意図を理解したかどうかに関わらず、的外れな回答に対して料金を支払うことになります。古い格言にあるように、すべての販売は最終的なものです。誤解されたプロンプトについても同じことが言えます。
カジュアルユーザーは、イライラするような試行錯誤を含む相当な試行錯誤の後に、このプロンプト作成の考慮事項に気づくことがあります。多くのユーザーはプロンプト作成に特に熟達することはありません。彼らは思いついたことを入力するだけです。カジュアルユーザーでAIを頻繁に使用しない場合は、それでも問題ないでしょう。
しかし、真剣なプロンプトエンジニアにとってはそうではありません。
プロンプト提案としてのテンプレート
2025年8月7日にOpenAIが投稿した「あらゆる役割のためのChatGPT」と題した最近の記事では、以下のようなビジネスに精通したトピックを含む、様々な業務関連のプロンプトパッケージまたはパックが公開されました：
- プロフェッショナルなメールを書く
- 明確さのために書き直す
- 対象者に合わせてメッセージを調整する
- 会議の招待状を作成する
- 長いメールを要約する
- 会議のアジェンダを作成する
- 会議のメモを要約する
- アクションアイテムリストを作成する
- 会議の質問を準備する
- フォローアップメールを作成する
- 根本原因を特定する
- オプションを比較する
- 意思決定基準
- 日々の優先事項を文書化する
- 解決策をブレインストーミングする
- その他
これらの各アクションには、特定の詳細を入力できるテンプレート化されたプロンプトが提供されています。
根本原因分析に関する例
これらのテンプレート化されたプロンプトの一つ、根本原因分析に関するものを取り上げてみましょう。
あなたのマネージャーがオフィスが常に仕事で圧倒されている理由を突き止めるよう依頼したとします。スタッフの数は予想される仕事量に見合っていると考えられているため、これは厄介な問題のようです。マネージャーは、スタッフが現在の業務量に十分対応できるはずなのに、なぜそうならないのかと困惑しています。
ある意味で、マネージャーはあなたに根本原因分析を行うよう求めています。根本原因分析では、まず物事を停滞させているように見える状況や環境を説明します。次に、当面の問題を引き起こしている主要な要因を特定しようとします。
根本原因分析を明示的に行ったことがない場合、それを行うには少し労力が必要です。根本原因分析を頻繁に行う人は、過信して分析プロセスを省略し、重要な要因を見落としたり、分析を簡略化したりすることがあります。全体として、根本原因分析を支援する便利なツールがあれば非常に有益です。
生成AIの活用
そこで、OpenAIのChatGPTやGPT-5、Anthropic Claude、Google Gemini、Meta Llama、xAI Grokなどの生成AIを活用することが適切なツールとなります。
これらの様々なLLMに言及するのは、ChatGPTが投稿したテンプレートがChatGPTに特に限定されているわけではないからです。テンプレートのテキストを取得して、他の生成AIでも簡単にプロンプトとして使用できます。ChatGPTでテンプレートを使用する主な利点は、OpenAIの投稿が各テンプレートの横にリンクを提供しており、そのリンクを使ってテンプレートをChatGPTに即座にインポートできることです（余談ですが、単純なコピー＆ペーストもほぼ同じくらい簡単です）。
以下が根本原因分析のテンプレートです：
- 「以下の職場の問題を分析してください：[問題の説明]。この問題は複数回発生しているという背景があります。考えられる根本原因を特定し、それらを確認するための質問を提案してください。」
ユーザーは当面の問題の説明を含めます。状況に応じて、テキストの残りの部分も修正できます。
インタラクティブなコラボレーションに焦点を当てる
生成AIを使用する美点は、AIがあなたの説明が根本原因を突き止めるのに不十分だと判断した場合、AIがあなたに知らせることです。その後、そのトピックについてインタラクティブな対話を進めることができます。LLMは通常、インタラクティブモードで最も効果的に活用できるという重要な認識から、対話や会話の概念に言及しています。
説明しましょう。
単にプロンプトを入力して即座に完全な回答を得られると考えるユーザーは、AIの適切な使用方法を考えていません。テンプレートは議論の出発点です。その出発点の後、ユーザーはAIと議論し、協力して求めている回答を得る必要があります。
一度きりの考え方をインタラクティブで協力的な視点に置き換える必要があります。
AIを通じた精神的エクササイズ
根本原因分析を依頼したマネージャーは、その分析がどのようなものだったか尋ねる可能性が高いでしょう。AIを使用したと主張したとしても、あなたが伝える回答をすぐに額面通りに受け取る可能性は低いでしょう。実際、AIを使用したことを明かした場合、マネージャーはかなり疑わしく思うかもしれません。
AIがエラーを起こす可能性があることは、今日では誰もが知っているはずです。見出しはそれらの欠陥を指摘し続けています。特に、いわゆるAIハルシネーション（幻覚）の台頭は、AIが虚偽を生成し、現実と一致しない作り話を提示する事例を含みます（AIハルシネーションに関する私の解説はこちらのリンクを参照）。これらのテンプレートを含め、AIを使用する人は誰でも、心を働かせ続け、LLMが言うことをただ伝えるだけにしないようにする必要があります。
AIからの説明を得ることは大きなプラスになります。
プロンプトにテンプレートを使用する場合、AIに推論や根拠を説明するよう指示する行をほぼ常に追加するようにしています。この根本原因分析の場合、AIにそうするよう指示する最後の行を追加したでしょう。
説明を見ることで、AIが表示した原因を提示した理由をより良く理解できるでしょう。その説明があなたの説明になりますが、それらをよく考え、あなた自身の人間としての印象を持つようにしてください。
業務用ChatGPTユースケースの呼び出し
業務目的でChatGPTを使用することを選択し、その方法によっては、テンプレートの呼び出しによってChatGPT業務用ユースケースと呼ばれるセグメントに移動することがあります。
最初に表示されるのは、このようなメッセージです：
- 「業務用ChatGPTの使用方法をブレインストーミングするお手伝いをします！また、あなたの役割に合わせたカスタムプロンプトも作成します。下のボタンをクリックして、あなたの職業と会社を共有することから始めましょう。」
ボタンをクリックすると、次にこのようなメッセージが表示されます：
- 「素晴らしい！職場でのあなたの役割におけるChatGPTの使用方法をブレインストーミングするお手伝いをします。始めるために、以下の情報を共有していただけますか：あなたの会社名（または名前を明かしたくない場合は組織の種類）、あなたの役割/肩書き、あなたが行っていること、範囲や指標、現在のプロジェクトや課題について数文で。それを共有していただければ、あなたの日常業務に特化したアイデアとプロンプトを提案します。」
プライバシーと業務機密
上記を取り上げたのは、業務関連の目的で公開AIを使用することが適切かどうかを慎重に検討していただくためです。
多くの人がプライバシーの問題や業務関連の機密性の懸念を考慮せずに、ChatGPTやClaudeなどのLLMを使用しています。従業員は自分が働いている会社に関するあらゆる種類のデータを入力します。会社の顧客に関するデータを入力することもあるかもしれません。AIにより多くの詳細を提供すれば、AIがより良く質問に答えられると考えるため、これは彼らにとって理にかなっています。
問題は、公開AIには通常、AIメーカーが技術チームのメンバーなどが入力したデータを検査でき、AIをさらにトレーニングする際に入力したデータを再利用できるというオンラインライセンス契約が付随していることです（詳細はこちらのリンクの解説を参照）。おっと、業務のためにAIを使用する努力が会社の秘密を漏らし、プライバシー法に違反し、その他にも露出や法的責任の大きな失敗になる可能性があります。
今日の企業は通常、従業員に公開LLMを使用せず、代わりに会社が意図的に設定し、多数のプライバシー規定を持つAIを使用するよう伝える内部メモを発行しています。それらのメモにもかかわらず、労働者はしばしば公開AIを使用します。彼らは習慣からそうするか、メモを受け取らなかったか、忘れたなどの理由でそうします。
どのAIを使用するかについて賢明に判断し、後悔するような露出を作り出さないでください。
社内テンプレートと他のテンプレート
生成AIの最前線にいる企業は、従業員が使用するよう奨励される独自のテンプレートを確立することがよくあります。テンプレートは上記のものに似ています。さらに、より詳細で会社に特化している可能性が高く、ビジネスの性質についてAIに繰り返し伝える必要がないようなバックグラウンド要素を提供します。
これは、生成AI用の無料テンプレートに関する潜在的な詐欺に注意するという警告点を提起します。
ワードプロセッシングパッケージが最初に始まったとき、インターネット上で見つけることができる多くのアドインがあったことを覚えているかもしれません。人々は日常的にそれらのアドインを採用していました。残念ながら、悪意のある悪人たちがPCをフリーズさせたり、コンピュータから情報を盗んだりするアドインを提供していました。悲しいことに、世界はそのように回っています。
同じような悪事を行おうとする生成AI用のテンプレートがオンラインに存在します。これを言及するのは、LLMの使用に関連する便利なテンプレートをインターネットで検索する際に注意するためです。テンプレートのテキストを注意深く検査してください。テンプレートには巧妙なひねりや曲がりが挿入されている可能性があり、あなたは悪人があなたのAI使用をあなたに対して向けることを盲目的に許してしまうかもしれません。
業務のためのプロンプト作成は注意深く行う必要がある
以下は、業務でのプロンプト作成に関する厳選された有用な考えです：
- あなたが使用している生成AIは公開インスタンスですか、それともビジネス用に設定されたプライベートバージョンですか？
- 生成AIに入力するデータに注意していますか？
- 内部で利用可能なプロンプトテンプレートがありますか？
- 外部で利用可能なプロンプトテンプレートがありますか？
- 外部テンプレートが使用に安全であることを確認するために精査しましたか？
- 一度きりのアプローチではなく、より完全な回答とおそらくより良い回答を得るために、AIと対話に参加していますか？
- AIに回答を説明するよう依頼していますか？
- エラーやAIハルシネーションによって行き詰まらないように、AIが言うことを注意深く検討しましたか？
- プロンプトエンジニアリングスキルを磨くためにAIの使用について振り返りましたか？
最後のポイントは、それに値するほどの注目を集めていません。
日常的にAIを使用する人は、時間の経過とともにプロンプト作成スキルを向上させることが望ましいです。これには通常、プロンプトがどれだけ良かったか、あるいは弱かったかについての自己反省が必要です。時々、プロンプトのスタイルやアプローチを検討し、再検討するための瞑想の時間を取りましょう。
有名なヴィンス・ロンバルディが述べたように、「練習は完璧を作らない。完璧な練習だけが完璧を作る。」
