「バナナについて22文字でストーリーのある紹介をしてください」――。
そう言われたら、どう答えるだろうか。Web編集者として7000本超の記事タイトルを考案し、数万本に及ぶアクセス傾向の分析から「短い言葉で心をつかむ法則」を体系化した武政秀明氏の著書『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』(サンマーク出版)から、短い言葉で「物語」を作る技術を一部抜粋、再構成してお届けする。
日常から「物語」を作り込む
「新発売」より「10年かけて開発した新商品」のほうが、興味をそそられます。
「輸入雑貨」より「仕入れ担当が旅先で出会った職人さんの手作り雑貨」のほうがどこかひかれます。
日常で出会う言葉の中で、なぜか心に残るものがあります。その中には大抵「物語」があります。「物語」の中には、人の思いや時間の流れがあります。それは人の心を動かします。
物語は、単なる事実を「意味のある出来事」に変える力を持っているからです。
この記事の最初の問いかけを見て、「22文字で物語なんて作れるの?」と思われたかもしれません。
でも人間は言葉を見ると、その裏のイメージを組み合わせて頭の中でイメージや物語を感じます。
したがって、言葉をうまく組み合わせることで、短い言葉でも「物語」のある文章を作れるのです。
たとえば、一房198円のバナナについて説明する文があったとします。
「フィリピン産バナナ 198円」
よくスーパーでも見かける一文です。
これが、
「フィリピンの農家さんが丁寧に育てたバナナ 198円」
だとしたらどうでしょうか。
単なる「フィリピン産バナナ 198円」とは違う意味を持ち始めます。海の向こうでバナナを育て、収穫してくれる人の存在や行動と、バナナが結びつくことで、物語を感じ、特別なものとして認識し始めるのです。



