メールの件名、企画書のタイトル、プレゼンの見出し――。その短い言葉が相手の心をつかむかどうかの生命線になることがある。
必要なのは「文章力」だけではない。Web編集者として7000本超の記事タイトルを考案し、数万本に及ぶアクセス傾向の分析から「短い言葉で心をつかむ法則」を体系化した武政秀明氏の著書『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』(サンマーク出版)から、短い心に響く言葉を生み出す「文章力以前」の3つの力について一部抜粋、再構成してお届けする。
「響く言葉」が持っているもの──文章力の前に何が必要か
みなさんは、「人に響く言葉」を考える時、どんなことを意識していますか?
「うまい表現を使わなきゃ」「センスのある言い回しを」と思っているかもしれません。美しい表現、流麗な文体、豊富な語彙……。こうした「文章力」は確かに大切です。
でも、ある言葉が自分に響いたと思う時、「文章力以前」のもっと別の何かで心をつかまれていることが多いのではないでしょうか。
どんなに美しく言葉を綴れたとしても、伝えたい相手が「自分ごととして感じられる」「興味をそそられる」と思わなければ響きません。
その「文章力以前」で決まる要素が、次の3つのポイントです。
① 見る力
② 分解する力
③ 言い換える力
これらがないと、たとえ文章力があったとしても、読んでもらえません。
この3つを分解すると、「考えるとは何か」が見えてきます。考えていないから書けないだけ。見て、分解して、言い換える。
そして、この3つの力すべてに共通する重要な要素があります。それは「なぜ」です。これを起点に考えてこそ、意外なことに気づいたり、物事を深くとらえられたりできます。そうしないと表面的な情報の羅列に終わってしまい、相手に伝わらないのです。
① 見る力
「何を書けばいいかわからない」と悩む人の多くは、「何を書くか」が見えていないのだと思います。
「見る力」とは、物事を色んな視点から見て、新しい発見をする力です。同じものを見ていても、視点を変えることでまったく違うものが見えてきます。そして、どの視点を選ぶにしても「なぜその視点が重要なのか」「なぜその発見が相手にとって価値があるのか」を明確にする必要があります。



