マーケティング

2025.11.27 10:15

人に響く言葉と響かない言葉を分ける「文章力以前」の3要素

なぜこの変換が必要なのでしょうか。理由は単純。人間は知らない言葉はわからないからです。逆に、知っている言葉なら安心して読み進められます。

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たとえば「ポスト検索時代」という言葉があります。これは従来のようにグーグルなどの検索サイトでキーワードを入れて、表示されたウェブページの中から情報を探すのではなく、直接AIに質問して調べ物をしたり、問題解決をしたりするトレンドを指します。検索サイト上でAIが検索結果を要約して表示する機能も始まり、まとめられた概要を見て終わらせてしまう傾向が強まっていることも背景にあるのでしょう。

これが「ポスト検索時代」と表現されているのですが、一言でピンとくる人はそんなに多くないのではないでしょうか。なぜなら、大勢に浸透していない言葉だからです。「ポスト検索時代」と聞いた瞬間に「難しそう」「自分には関係ない」と感じてしまう可能性があります。

そこで、みんなが知っている言葉を使い、「ポスト検索時代」を「ネット検索を使わなくてもAIで調べて事足りる時代」と言い換えるとどうでしょう。自分ごととして感じられて、かつ興味をそそられる表現になり、より多くの人に伝わるはずです。

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このような事例は数多く存在します。

相手の立場で考えて言葉を選ぶ

言い換えの本質は、相手の世界観に合わせることです。相手がその言葉を聞いた時にどんな感情を抱くか、どんなイメージを思い浮かべるかまで想像する。そして、相手にとって「知っている」「身近」「関心がある」言葉に置き換えることで、相手の心の扉を開くことができるのです。

相手の立場を想像せずに言葉を選ぶと、相手から見るとわけがわからなくて、スルーされてしまいます。これが、言葉が埋没してしまう原因の一つです。相手にはピンとこない造語にも要注意です。相手の立場で考える優しさが、伝わる言葉を生み出します。

あなたが書こうとしているものの中にも、必ず相手が「自分ごととして感じられて、かつ興味をそそられる」ところがあります。それを見つけて、分解して、言い換える。それができれば、人の心を動かす言葉が書けるようになるのです。

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文=武政秀明/Webメディア編集長

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