たとえば、新商品の発表会があったとします。普通なら「商品の特徴」を一番に伝えるでしょう。しかし視点を変えれば、「なぜ今このタイミングで発表するのか」「開発チームはどこに一番苦労したのか」「なぜ競合他社はこの分野に参入しないのか」など、様々な角度から見ることができます。
主人公を開発者にすれば開発秘話に、マーケティング担当者にすれば戦略の話に、ユーザーにすれば使用感の話になります。同じ発表会でも、どの視点から見るかで内容はまったく変わるのです。
商品をPRする時も、サービスを紹介する時も同じです。1つの視点に固執せず、色んな角度から対象を見る。
どんな平凡に見える出来事にも、別の角度から見れば必ず価値があります。
「なぜ」から始めて4W1Hで分解する
② 分解する力
物事のいいところを見つけたら、次にそれを「分解」します。
分解は意外と簡単です。まず、あなたが見つけた「いいところ」について、「なぜそれがよいのか」を言葉にします。そしてそれを、小学生の時に習った「いつ、どこで、誰が、何を、どのように」に則って分解して整理してみます。「なぜ」を分解して深掘りすることで、深みのある言葉になっていきます。
たとえば「流行りのラーメン店」について書くとします。「注目されている」だけでは、読者の頭に絵が浮かびません。しかし、まず「なぜこの店が注目されるのか」を考えてから分解すると、一気に臨場感が生まれます。
なぜ:「毎日食べても飽きない味」を追求する店主の哲学があるから
いつ:毎朝4時から仕込んでいる
どこで:駅から徒歩10分の住宅街の一角で
誰が:店主が一人黙々と
何を:豚骨スープを12時間煮込んで
どのように:1杯ずつ丁寧に仕上げている
「なぜ」から始めて深掘りしていくことで、ほかの要素にも意味が生まれます。「何」だけではなく、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」を入れたら、相手の頭の中に、その場面が映像として浮かぶようになります。一気に臨場感が出てくるのです。一見すれば日常にありふれたようなことでも、分解すれば伝えたい相手の心に届く言葉を作る手がかりが見つかります。
③ 言い換える力
まずは、自分が言いたいことを定めることが大事です。そして、その言いたいことが相手に伝わるようにするには、相手が自分ごととして感じられて、かつ興味をそそられるような表現を選ぶことです。
相手が知らない言葉 → 相手が知っている言葉
相手がイメージしにくい表現 → 相手がイメージしやすい表現
このような変換をすることで、相手にとって身近で関心の高い内容にするのです。それが「言い換える力」です。


