マーケティング

2025.11.25 16:15

言葉だらけの世界で「目にとめてもらえる言葉」の秘訣

この現実を、あなたの日常に置き換えて考えてみてください。SNSで興味をひかれて誰かの投稿を開いても、思いのほか長い文章に戸惑って途中で読むのをやめてしまったり、本を買ってきても、パラパラとめくって気になるページだけをチェックしたり。そんなことはザラなのではないでしょうか。相手が興味を持って見てくれたとしても、その内容が余すところなく届くわけではないのです。それ以前に、SNS投稿は見かけたけど読まなかった、本のタイトルだけ見てスルーした、などといったこともあるでしょう。

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私たちはつい、「すべてを説明できれば伝わる」「内容がよければ読んでもらって理解・共感してもらえる」と考えがちです。実は、これこそが大きな誤解です。

ビジネス書『1分で話せ』(SBクリエイティブ)の著者である伊藤羊一さんは、同書でこのように述べています。

「自分が伝えたいことを話せば、人は話を聞いてくれる」というのは、多くの人が陥っている誤解だと。そして、こう指摘します。

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「人は、相手の話の80%は聞いていない」のだと。

これが一般的な、相手の話に対するスタンスです。

つまり、書き言葉であれ話し言葉であれ、私たちが伝えようとしていることの全部が相手に届くと考えることが、そもそもの誤解なのです。むしろ、届くのは一部分だけ。この現実を受け入れることから始めたほうがいいのです。

毎日、私たちの目の前を無数の情報が通り過ぎています。

メールマガジンの多くが未読のまま削除され、会議資料は一部しか目を通されず、SNSの投稿は指先をすり抜け、店頭のポスターは視界の外へと消えていく。

私たちは、その情報の渦の中で、常に「これは自分にとって価値があるか」「今、これを読む必要があるか」という判断を一瞬で行ない、必要な情報だけを拾っているのです。

あなたなら、どちらのお店に入る?

そのような状況の中で、私たちは、どんな言葉であれば、目を向けるでしょうか?

街を歩いていて、お店に入るかどうかを決める時のことを想像してみてください。

あなたならどちらのお店に入るでしょうか?

ショーウィンドーに魅力的な商品が並び、店内の様子が窺える店(A)と、ドアに閉ざされ、どんなパンを扱っているのかもわからない店(B)。

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文=武政秀明/Webメディア編集長

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