「AIのレジリエンス・エコシステム(回復力の高いエコシステム)を構築することが不可欠になる」と彼らは指摘した。「インターネットが登場したとき、単一の政策や企業でそれを守ったわけではない。ソフトウェア、暗号化プロトコル、標準、監視システム、緊急対応チームなどから成るサイバーセキュリティという一大分野を構築したのだ。このエコシステムはリスクを完全に排除はできなかったが、社会が受け入れられる水準まで低減し、人々がデジタル基盤を信頼して生活と経済を築けるようにした。AIについても同様のものが必要であり、その促進において各国政府が産業政策を推進する力強い役割を果たせる」
仕事への影響はどうなるか
AIが雇用に大きな変革をもたらすことはすでに知られている。AI関連のレイオフは一般化しつつある。世界経済フォーラムは、今後数年で最大9300万の職がAIによって影響を受けると指摘している。しかし、その影響の正確な度合い、すなわちどのような新しい職種が生まれるのか(7000万以上が新規創出される見込み)については、依然としてやや不明瞭だ。
しかしOpenAIの声明を見ると、需要が高まる職種やまったく新しい職名の創出という点で、AIの進む方向性は一段と明確になる。
・組織はフレームワークや政府規制と連携し、社内ポリシーを強化し、従業員が職場でAIをどう使うかについてこれまで以上に慎重になる必要がある
・プロフェッショナルは、AIリテラシーとサイバーセキュリティ倫理に関する証明や資格を示す必要がある。ちょうどサイバーセキュリティのリーダーがキャリアを進めるうえでCISSP認定を必要とするのと同様である
・AIが現在の姿からAGI、さらには超知能へと発展するにつれ、安全性への注目は一段と高まり、新たな役割や組織体が生まれる。AI規制と安全性研究は、それ自体が需要の高い産業となり、世界的に多額の投資がなされるだろう
1. サイバーセキュリティ職の需要が急増
あなたのAIツールがサイバー攻撃者にハッキングされたらどうなるか。AIシステムが悪用され、エンタープライズ対応と称して販売されながら、実際にはスパイウェアとして使われたらどうなるか。従業員が機密データをLLM(大規模言語モデル)に投入したり、(元FBI捜査官のエリック・オニールが述べるように)検知が一段と難しくなっているAI生成のフィッシング攻撃にさらされたらどうなるか。
これらすべての要因により、サイバーセキュリティはエントリーレベルであっても需要が高く高給の産業となる。米国労働統計局(BLS)は、2034年までに最大5万2000人のサイバーセキュリティ専門職が必要になり、雇用成長率は29%(平均を大きく上回る)になると見積もっている。


