サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、米大統領への公式実務訪問として、11月18日にホワイトハウスを訪問する。トランプ大統領は、「アラブの盟主」を自任するサウジの皇太子との会談で、パレスチナ自治区ガザの和平計画の実現に向けた協力を確認する見通しだと報じられている。
トランプ家とサウジの長年の金脈、皇太子訪米が映す政治の現実
しかし、この会談には別の目的もあると見られている。トランプは、数十年にわたりサウジアラビアと取引を行ってきたが、本格的に巨額の資金が流れ込むようになったのは、彼が大統領に就任して以降のことだ。
2018年10月16日、トランプ大統領は、「念のため言っておくが、私はサウジアラビア(ついでにロシアにも)一切の財務的利害関係を持っていない。そうした関係があるという指摘は、たくさんあるフェイクニュースの一つにすぎない!」とツイートした。彼のこの投稿は、サウジアラビア国王による、「ジャーナリストのジャマル・カショギの殺害に関しては何も知らない」という主張をほぼそのまま繰り返した翌日のことだった。
For the record, I have no financial interests in Saudi Arabia (or Russia, for that matter). Any suggestion that I have is just more FAKE NEWS (of which there is plenty)!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 16, 2018advertisement
トランプはその当時、サウジに利害を持っていなかったかもしれないが、彼はサウジと断続的に取引を行っており、1995年にはプラザホテルをサウジ王子に売却し、2001年にはサウジ政府に複数のコンドミニアムを販売していた。だが、カショギ殺害の後、とりわけ1期目の大統領任期を終えた後のトランプは、サウジとの結びつきを一段と強めていた。
大統領とその一族はその後、少なくとも9件のサウジ関連の投資家との取引をまとめ、トランプのゴルフ事業に数百万ドル(数億円)、ライセンス事業に数千万ドル(数百億円)、そしてプライベートエクイティファンドには数十億ドル(数千億円)が流れ込んだとフォーブスは推定している。トランプとその親族は、2024年のみでサウジ関連の取引から推計5000万ドル(約78億円。1ドル=155円換算)を受け取った。
“温かい歓迎”を受けると予想される、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子
こうした多額の取引が理由となって、18日にホワイトハウスを訪問予定のムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、米情報機関が「カショギの拘束または殺害計画を承認した人物」とみなしているにもかかわらず、温かい歓迎を受けると予想されている。皇太子は、自分が殺害を命じたわけではないと主張しているが、今回の訪問では、当然ながら別の懸案に議論の焦点を移したいはずだ。
話し合うべきことは山ほどある。軍事装備や石油供給、和平交渉、そして──もちろん金だ。金こそが、何十年にもわたりトランプとサウジアラビアを結びつけてきた中心的なテーマだった。ここでは、両者の関係を時系列順に振り返る。



