自社モデルの「Composer」でAIコード生成を高速化し、他社モデルへの依存を低減
AIコーディングツールのCursorは、OpenAI、Anthropic(アンソロピック)、グーグル、xAI(エックスエーアイ)のモデルを用いて、エンジニアがコードを生成・編集し、バグを特定して修正することを可能にする。また10月には、コードを高速生成し、ファイル編集やコードベースの変更といった作業を自動で実行するよう訓練された自社モデルの「Composer」を立ち上げた。Anysphereは、自社モデルの運用によって、高価なモデルを提供する他社への依存度を下げられる可能性がある。
共同創業者たちの経歴、タートアップ育成機関「Neo」と数学オリンピック
CEOのトゥルエル(25)は、幼い頃からコーディングに親しみ、高校時代には、複数の言語で書かれたボットを競わせるプログラミングゲーム「Halite」を開発し、数千人ものプレイヤーを呼び込んだ。その後、創薬企業Octant(オクタント)でインターンを務めた際には計算化学を担当し、グーグルではニュースのレコメンドモデルの訓練に携わった。
トゥルエルはその後、スタートアップ育成機関「Neo」のスカラーに選ばれた。Neoは、優れた才能を持つ大学生を発掘してシリコンバレーの人脈につなぎ、自らも投資するという組織だ。トゥルエルは、フェイスブックの初期投資家アリ・パルトヴィの前で、手書きのコーディングテストを記録的な速さで完成させ彼を驚かせた後にスカラーに選出された。
共同創業者のサンガー(25)も同じくNeoのスカラーだった。パキスタンのカラチ出身のアシフ(25)は国際数学オリンピックの出場経験を持ち、ルンネマークも同大会で優勝していた。
CAD向けAI事業の失敗を機に、プログラマー向けコードエディターへと転換
Anysphereの共同創業者たちは当初、機械系エンジニアが使うCADソフト向けにAIモデルを構築していたが、その分野の専門知識が乏しかったために失敗に終わった。そこで、彼らはより精通していた分野のソフトウェアエンジニアリングに軸足を移すことにした。そして、「プログラマーのためのグーグルドキュメント」的な位置づけのAI搭載コードエディターであるCursorを開発したと、トゥルエルは昨年フォーブスに語っていた。
AIスタートアップの評価額が瞬く間に急騰する中、若いAI創業者が次々とビリオネアになっている。フォーブスは、10月下旬には、評価額が100億ドル(約1.57兆円)に達したAI採用スタートアップ Mercor(メルコア)の22歳の共同創業者2人が、世界で最も若いビリオネアになったと報じていた。


