キャリア

2025.12.15 12:30

「最初に発言」することで会議で「影響力が高めまる」 科学的な理由

Shutterstock.com

プロフェッショナルなら誰でも、すばらしいアイディアがあってもなぜか前進しないもどかしさを知っている。賢明な視点を共有しても、あなたが発言したときにはすでに決定が下されている。

あまり語られることのない秘密がある。それは、会議で最初に発言する人が、結果を左右することが多いということだ。

それはエゴや年齢のことではない。神経科学と社会心理学の話だ。発言の順番によって、誰のアイデアが会話の軸となり、誰のアイデアが埋もれるのかが決まる。その仕組みを理解すれば、たとえ職位が最も高くなくても、すべての会議でリードすることができる。

「最初に発言」することが持つ力

筆者が創業したLeadership IQが行った、チームの効果と不満に関する調査では、チーム内の対立が生産的に解決されていると答えた従業員はわずか36%で、少数派の意見でも安心して言えると感じているのは18%にとどまった。ほとんどの人は、発言する前に部屋の空気がどちらに傾くか様子を見ている。

そうした「ためらい」のときこそがチャンスだ。最初に発言することで、あなたが会議の構成を確立することになる。「普通」とはどのようなものかをあなたが定義する。他の人たちは本能的にあなたのアイデアに反応し始める。彼らが同意しようが、改良しようが、議論しようが、それでもアイデアはあなたの基準によるものだ。

これはハーディング現象と呼ばれ、現代の組織で最も認識されていない影響力を行使する方法の1つだ。

ある研究で、新しく作成された記事を残すべきか削除すべきかという40万件以上のウィキペディアの議論を分析し、驚くべきことがわかった。議論の最初の賛否の表明が「残す」だった場合、最終的な決定も「残す」となる可能性は40ポイント以上上がった。最初の賛否表明が「削除」だった場合、削除の可能性は約20ポイント上昇した。誰が最初に発言するかという単純な順序、あるいは賛否どちらを表明するかにその後のさまざまな議論は引っ張られていた。これは、1人の最初の発言がいかにグループの意見へと連鎖するかを示す顕著な例だ。

最高経営責任者(CEO)であれ、最も自信のある中間管理職であれ、誰が最初に発言しようとも、その力がチームの残りのメンバーに大きく影響を及ぼす。議論は中立な状態で始まるのではなく、最初の発言の内容がスタート地点となる。発言がお粗末だった場合、それは操作となり、うまく運べばリーダーシップとなる。

次ページ > 最高のリーダーはハーディング現象を意図的かつ倫理的に利用する

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事


advertisement