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2025.12.15 12:30

「最初に発言」することで会議で「影響力が高めまる」 科学的な理由

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ハーディング現象をうまく使うには

ハーディング現象は他人を操るということではない。会話が適切なところから始まるようにデザインするということだ。

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新製品のアイデア出しをしているなら、活発な雰囲気にし、境界線を広げるためにトレイルブレイザーに最初に発言してもらう。アイデアを実行に移すときは、アチーバーまたはスタビライザーにバトンを渡す。緊迫した決断を行う場合は、ハーモナイザーに話をさせ、次にディレクターが方向性を定め、議論をまとめる。

誰が最初に、そしてそれぞれが話す順番によって、会議が議論になるか、コラボレーションになるかが決まる。優れたチームはただ話すだけでなく、演出するのだ。

災いになるパターン

最初に発言する人が適切でなかったり、全員が最初に発言することを長くためらったりすると、ハーディング現象が災いになることがある。他のメンバーがそれぞれ考える前にシニアリーダーが強い意見で口火を切ると、グループの残りのメンバーはその意見に倣うことが多い。一見協調しているように見えても、実は静かな追従だったりする。

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業績の高いチームが議論の順序をあらかじめ決めておくことがあるのはこのためだ。課題の種類に応じて、誰が最初に発言すべきかを前もって決めておく。中には、「最初の発言者」を毎週交代させ、チームが最も必要としていることに応じて、さまざまな役割の人に会議の冒頭を形成させるチームもある。

ある週の戦略的セッションはディレクターが始めるかもしれない。次の週には、ハーモナイザーが従業員の士気についての議論を始めるかもしれない。ローテーションを導入することでチームの考えが多様なものになり、ハーディング現象が災いするのではなく、効果を上げるようになる。

隠れた教訓

影響力は権力のことだけを言うのではない。タイミングと順序が絡むものでもある。すべての会議には心理的な構造があり、誰が物事を始めるかで、その後の形勢が決まる。

ハーディング現象は常にみられる。排除することはできないが、利用することはできる。チームの役割を理解し、誰が最初に発言するかを意図的に選べば、会議を受身的な議論から方向づけする手段に変えることができる。

次回会議に参加し、どうすれば自分の意見を聞いてもらえるだろうかと悩んだら、次のことを思い出してほしい。リーダーシップは多くの場合、声の大きさではなく、タイミングから始まる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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