最初の発言者を意図的に決めるべき理由
チームがどのような会話をしているかによって、最初に発言する人を変えるべきだ。ハーディング現象は強力だが、適切な人に任せればさらに強力になる。
大胆な新しいアイデアやイノベーションが必要なら、トレイルブレイザーにまず発言してもらおう。トレイルブレイザーは思い込みに挑戦し、他の人が存在を認識していなかった心の扉を開く。トレイルブレイザーが最初に発言することで可能性が広がり、他の人が安心してより大きなアイデアを育めるようにする。
チームが集中や優先順位付け、明確な道筋を必要としているなら、ディレクターが最初に発言するべきだ。ディレクターは自信と緊急性をもたらし、曖昧さを行動に変える。しかし、ディレクターの権限が創造的思考を無意識のうちに封じる可能性があるため、チームの意見がまとまらなかったり、議論しすぎたりするリスクがある場合にのみ、ディレクターがリードすべきだ。
目標が正確さや品質、技術面での実行である場合は、アチーバーに会話を始めてもらおう。彼らの分析的な考え方によって皆が厳密になり、結果へと目を向けるようになる。そしてデータや測定基準、技術力について考え始める。
リスクやシステム、プロセス改善に関する意思決定をする場合には、スタビライザーに口火を切ってもらおう。スタビライザーは冷静で構造化された論理をもたらす。彼らの慎重な口調は軽率な判断を防ぎ、大胆なアイデアを行動に移す前に必ず現実的な視点でチェックする。
チェンジマネジメント（変革の管理）やカルチャー変革、緊張感を伴うプロジェクトなど、人の利害が絡む場合はまずハーモナイザーが発言するといい。ハーモナイザーは共感を前面に出し、あらゆる図表や指標の背後に人がいることをチームに思い出させる。ハーモナイザーがリードすると、グループの姿勢は防衛ではなく理解を中心としたものになる。
どの役割の人がトップバッターを務めるかで、議論はまったく異なる方向にいく。留意すべきは誰が年上かではなく、チームが今解決しようとしている問題に誰の役割が最も適しているかだ。
