暗号資産

2025.11.17 08:00

「水門が開かれた」トランプの津波のような財政支出に期待のビットコイン市場

Shutterstock.com

Shutterstock.com

ビットコイン価格は、史上最高値である12万6000ドルを記録してからわずか1カ月で10万ドルを割り込むまで急落した後、9万4000ドルで底値をつけた。ドナルド・トランプ米大統領が2024年の大統領選に勝利したことでビットコイン価格は急騰したが、その後は勢いを維持できない状況が続き、2025年に入ると金相場に主導権を奪われていた。

そんな中、ビットコインと暗号資産のトレーダーたちは、2026年にトランプ政権がまるで津波のような歳出を解き放つと予測している。これは、トランプが2000ドル(約30万円)の「関税配当」を2026年に支給すると改めて確認したためである。

先日、トランプは記者団に対し、2000ドルの支払いは「来年のどこかの時点で」行われると述べ、「われわれは関税から多くの資金を得ている。関税があるからこそ、配当を出すことが可能」だと付け加えた。

11月初めにトランプが提案した関税配当は、コロナ禍における給付金と同様の効果をもたらすと見られている。当時の給付金は、ビットコイン、暗号資産、株式の価格を押し上げる要因になった。

当時、トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で「1人あたり少なくとも2000ドル(高所得者は除外!)の配当が全員に支払われる」と発言した。また、彼は物議を醸す関税政策に反対する者たちを「愚か者」と呼び、これにより米国は「数兆ドル」の資金を獲得しており、37兆ドル(約5699兆円)にのぼる「巨額債務」の返済を近く開始すると主張した。

しかし、スコット・ベッセント財務長官は、トランプよりもややトーンを抑えた発言をしており、この関税配当は「さまざまな形を取り得る」と述べている。その中には、トランプの看板政策である『ひとつの大きく美しい法案』にすでに盛り込まれている減税も含まれるとした。

それでも、強気の暗号資産トレーダーたちは、米国政府が債務危機から抜け出すために歳出を拡大し、経済活動と技術開発を後押しすると見込んでいる。テスラを率いる億万長者のイーロン・マスクは、それが「債務危機から抜け出し、米国の破綻を防ぐ唯一の方法だ」と考えている。

次ページ > 「水門は開かれた」

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事