フォーブス編集主幹のスティーブ・フォーブスは、気まぐれな北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がもたらす核の脅威が高まっていると警告し、米国の重要な同盟国である韓国に核兵器を再配備するよう提案している──。
韓国に戦術核兵器を再配備する必要がある。北朝鮮の核兵器の増強が危険度を増しており、今こそそれが求められている。
東西冷戦期の1958~91年にかけて、米国は韓国領土に戦術核兵器を配備していた。1960年代後半のピーク時には、朝鮮半島に約950発の核弾頭が配備され、北朝鮮の侵略に対する重要な抑止力として機能するとともに、同国の通常戦力の優位性を相殺していた。この核の存在は韓国に目に見える安心感を与え、30年以上にわたり北東アジアの戦略的安定を維持するのに寄与した。
これらの核兵器の撤去は1991年、最善の意図をもって実施された。当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領の「大統領核イニシアチブ」は、ソビエト連邦の脅威が消え、軍縮が賢明だと思われた冷戦後の楽観主義を反映していた。より具体的には、この撤去は北朝鮮に初期の核開発計画を放棄するよう圧力をかける外交的駆け引きとして計画された。北朝鮮は、韓国にある米国の核兵器を正当化の根拠として、自国核施設の国際査察を拒否していた。韓国から核兵器を撤去することで、米国は北朝鮮側の言い訳を排除し、朝鮮半島全体の非核化への道筋をつけることを期待していたのだ。
だが、その戦略は見事に失敗した。韓国と北朝鮮は1992年1月、朝鮮半島の非核化を約束する共同宣言に署名した。ところが、北朝鮮はこの合意を無視し続けている。米国の戦術核兵器の撤去は戦略的空白を生み出し、北朝鮮はむしろこれを容赦なく利用している。今日、北朝鮮は数十発の核弾頭を保有しており、その大陸間弾道ミサイルは米国本土を射程圏内に収める能力を獲得しようとしている。これはまさに、1991年の核兵器の撤去によって防ごうとした悪夢のシナリオだ。



