インターナショナル・ワイン＆スピリッツ・コンペティション（IWSC）は、1969年に創設され、ロンドンに本部を置く。このたびIWSCは、製品レンジ全体で継続的にメダルを獲得している企業をたたえるべく、「Top 50 Wine and Spirit Producers（トップ50ワイン＆スピリッツ生産者）」プログラムを立ち上げた。本稿では、そのトップ生産者一覧の基礎となった個別のウイスキーのいくつかを紹介する。
IWSCと連携し、筆者は年月を経ても卓越性を示し続けるスピリッツの「栄誉リスト」（honor roll、オナーロール）を編成した。選出条件は過去5年のうち少なくとも3年でゴールドメダルを獲得することという非常に高いハードルであり、単なる輝きだけでなく真の一貫性を浮かび上がらせる。90超の国々と主要なスピリッツの全カテゴリーからの数千点の出品の中で、初年度の基準を満たしたのはわずか46アイテムであった。そのうち9本がシングルモルト・スコッチ・ウイスキーである。
本特集は、その9本を取り上げ、簡潔な背景説明と個人的なテイスティング印象を組み合わせて紹介する。両者を合わせることで、シェリー由来の豪奢さや海洋性の熟成感から、ピートのスモーキーな力強さ、革新的なカスク・フィニッシュまで、現代のスコッチの広がりが地図のように見えてくる。また、すでにエリートがひしめく分野の中で、これらのモルトが真に「世界最高のシングルモルト・スコッチ・ウイスキー」と見なされるに至った理由も浮き彫りになる。
以下に第1回シングルモルト・スコッチ・ウイスキー栄誉リストを示す
Deanston Distillery（ディーンストン蒸溜所）, Virgin Oak Single Malt Scotch Whisky, 46.3% ABV, 750 ml.
ディーンストン（ハイランド）は1966年に綿紡績工場から蒸留所へと転用された。環境配慮型の水力発電、「ワクシー（蝋様）」な酒質、過度に手を加えない製造で知られる。ヴァージン・オークは米国ケンタッキー産の新樽アメリカンオークでフィニッシュを施すという、スコットランドでは稀な手法を採る。
このウイスキーは、オレンジの皮、ハチミツ、バニラ、コショウ、木香、青リンゴ、ナッツ、家具用ワックスの香りを示す。口中では豊満でクリーミーで、加熱した穀物／ダイジェスティブ・ビスケット、ハチミツ、バニラ、砂糖漬けのフルーツ、ショウガ、シナモンやクローブを含む各種スパイスの風味が広がる。フィニッシュは長く、スパイス、柑橘の皮、バニラ、そして控えめでよく溶け込んだ古樽由来のオークが余韻として残る。
Glencadam Distillery（グレンカダム蒸溜所）, Reserva Andalucía Oloroso Cask Single Malt, 46% ABV, 750 ml.
グレンカダムは1825年創業のハイランド蒸留所で、ノンピーテッドで明るくフルーティなスタイルで評価が高い。レゼルバ・アンダルシアはバーボン樽熟成の後、スペイン産オロロソ・シェリー樽でフィニッシュをかける。
このウイスキーは典型的な甘いシェリー香に加え、リンゴやプルーンといった果樹園系果実、チョコレート・ファッジ、バニラの香りを示す。口中はクリーミーで、ゴールデンレーズン、塩アーモンド、マジパン、キャラメルアップル、ショウガ、各種ウッドスパイスといったシェリー由来の風味が広がる。フィニッシュは長く、甘く、シェリー感が続き、ハチミツ、ブラウンシュガー、緑茶の余韻が残る。
Royal Brackla （ロイヤル・ブラックラ）21 YO Sherry Cask Finish, 46% ABV, 750 ml.
1812年創業のロイヤル・ブラックラは「王のウイスキー」として知られる。初めてロイヤルワラント（王室御用達）を得た蒸留所であり、ウィリアム4世に続いてヴィクトリア女王という2人の君主からワラントを授与された唯一の蒸留所でもある。現在はリッチなシェリー系モルトで名高い。
このウイスキーは、ゴールデンレーズン、ローストアーモンド、シナモン、リンゴ、そして古いシェリー樽を思わせる微かな土っぽい熟成香を示す。口中では赤系・黒系ベリー、イチジク、プルーン、ゴールデンレーズンに、焼きリンゴ、ミルクチョコレート、ウッドスパイスが重なる。フィニッシュは長く、シェリー感がありややドライで、砂糖漬け果実、ココア、ハーブの余韻が続く。
