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2025.11.17 18:00

IWSCの栄誉リストを飾る、世界最高の2本のバーボン

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フォアローゼズ・スモールバッチ/ケンタッキー・ストレート・バーボン・ウイスキー(Four Roses Small Batch, Kentucky Straight Bourbon Whiskey) 45% ABV、750ml

フォアローゼス(中央がスモールバッチ、Mark Sagliocco/Getty Images for NYCWFF)
フォアローゼス(中央がスモールバッチ、Mark Sagliocco/Getty Images for NYCWFF)

フォアローゼズは、バーボン生産プロセスが最も複雑な部類に入る。マッシュビルは2種類を用い、ハイライの配合はトウモロコシ65%、ライ麦35%、モルト大麦5%、ローライの配合はトウモロコシ75%、ライ麦20%、モルト大麦5%である。さらに5種の独自酵母株を使い、10種類の明確に異なるバーボンの特徴を生み出す。

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この10のレシピが、すべてのフォアローゼズ表現のビルディングブロックである。スタンダードなスモールバッチは、その10のレシピのうち4つを選び、リッチさ、果実味、スパイス、フローラルのバランスを取るようにミングリング(ブレンド)して造られる。伝統的には、ストレート・バーボンの標準コードである「O」を共通としつつ、「B」のハイライ2種と「E」のローライ2種を、「K/O/S」の酵母バリアントとともに用いる。

このバーボンは通常6~7年熟成される。樽差によりバッチごとにわずかに異なる。蒸溜はローレンスバーグのフォアローゼズ蒸溜所で行われ、コックス・クリーク施設の一層構造のリックハウスで、新樽の焦がしアメリカンオークにより熟成される。

スタイルとしては、スモールバッチはエントリーレベルの「イエローラベル」(現在は「フォアローゼズ・バーボン」に改称)とシングルバレルの中間に位置する。ハウスキャラクター──フルーティでフローラル、スパイシーで洗練された佇まい──を、手頃な価格と度数で示すよう設計されている。

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このバーボンはフルーティで、特定のフォアローゼズ酵母株に典型的な性格を示し、赤いベリー、熟したアプリコット、焼きリンゴや核果の香りに、キャラメル、蜂蜜、バニラ・カスタードが伴う。

またフローラルかつハーブ的で、バラの花びらやスイカズラ、ほのかなフレッシュハーブのニュアンスに、シナモン、ナツメグ、少量のクローブ、ホワイトペッパーといったベーキングスパイスが加わる。

口当たりは滑らかで甘くミディアムボディ。蜂蜜、トフィー、バニラのフレーバーに、熟した桃やアプリコットのような果物や赤いベリーのジャムが重なる。ライ由来のスパイスとしてシナモンとオールスパイス、少量の黒胡椒、控えめなバラの花びらとオレンジブロッサムのフローラル、そして枯れたオークが感じられる。

フィニッシュは長く絹のようで、キャラメル、バニラ、ドライフルーツ、枯れたオーク、控えめなライスパイスが余韻に残る。

両者を並べて見ると、ブラントンSFTBとフォアローゼズ・スモールバッチは、偉大なバーボンの在り方に関する二つの異なるビジョンを体現している。前者はハイライ、シングルバレル、バレルストレングスのウイスキーが持つ剥き出しの強烈さ(濃密で、パワフルで、オーク主導)を示し、後者は精緻なブレンディングに軸足を置き、10の異なるレシピを果実味、フローラル、スパイス、穏やかな木質感の均衡へと紡ぎあげる。

両者がIWSCの栄誉リストに名を連ねるに値するのは、現代のスピリッツで最も難しいこと、すなわち年を重ねても単発の印象に終わらず、常に非常に高いハードルを確実に越え続けることを成し遂げているからだ。バーボン愛飲家にとって、両者は同じ到達点、すなわち深み、複雑さ、そして何も証明する必要のないウイスキーが湛える静かな自信へと至る2つの魅力的な道を提示する。端的に言えば、これらのバーボンは不可欠で時代を超える古典であり、どの家庭のバーにも欠かすべきではない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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