ウクライナ軍によるロシアのエネルギー施設への攻撃は、衰える兆しを見せていない。
ウクライナRBC通信は14日、ウクライナ軍の無人機(ドローン)が同日未明にロシア南部黒海沿岸の主要港ノボロシースクを攻撃したと報じた。地元報道やウクライナ情報筋によると、無人機は停泊中の船舶に損傷を与えたほか、シェスハリス石油ターミナルで火災を引き起こし、S300およびS400防空システムの陣地を攻撃した可能性があるという。
この攻撃は、ロシア国営トランスネフチが運営する石油パイプラインの終点を標的とした。これは同国で最も重要な石油輸出拠点の1つだ。英ロイター通信によると、この攻撃で供給懸念が再燃したことにより、14日の原油価格は約2%上昇した。ノボロシースク港の攻撃について、英スパルタ・コモディティーズで石油市場を担当するジュン・ゴー上級アナリストはロイター通信に対し、「同港はロシア第2の石油輸出拠点であり、わずか2週間前に近郊のトゥアプセで起きた大規模攻撃に続くものとして、石油供給の流れが途絶える新たな懸念を引き起こしている」と説明した。
ウクライナ偽情報対策センターのアンドリー・コワレンコは、メッセージアプリ「テレグラム」で損傷した石油ターミナルの映像を公開し、攻撃が真実であることを確認した。その上で、この攻撃はウクライナ全土で続くロシア軍による住宅や民間施設への攻撃とは対照的だと指摘した。
ウクライナ軍の無人機攻撃は黒海を超えバルト海にも
ロシア軍が冬を前に、ウクライナのガス・電力供給網への攻撃を強めている一方、ウクライナ軍はロシアのエネルギー施設に対する組織的な攻撃を続けている。ウクライナ軍の無人機による絶え間ない攻撃により、ロシア軍が2023年に黒海艦隊の移転を余儀なくされて以降、ノボロシースクは繰り返し標的となっている。
今回の攻撃は、9月24日にウクライナ海軍の無人機がノボロシースクとトゥアプセの両石油施設をまひさせた攻撃をほうふつとさせる。海軍の無人機がこのような作戦で使用されたのはこれが初めてだった。輸出向けのトゥアプセ石油精製施設は1日当たり24万バレルの処理能力を有するが、繰り返される攻撃で操業停止が相次いでおり、同施設の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈している。
同月、ウクライナ軍情報部隊の無人機がノボロシースク近海でロシアのMPSV07級艦艇を攻撃した。無人機は同艦の電子システムを無力化し、高額な修理を余儀なくさせた。ウクライナ紙キーウ・インディペンデントによると、同艦は6000万ドル(約93億円)の価値があるが、ノボロシースク湾を哨戒中に被弾した。米ブルームバーグ通信は2日、ウクライナによる大規模な無人機攻撃により、トゥアプセでロシアの石油タンカーが炎上し、同国国営石油企業ロスネフチの石油積載施設が損傷したと伝えた。



