スタートアップ

2025.11.16 17:00

スタートアップのビジョンを明確にする、「3つのChatGPTプロンプト」

matdesign24 / Getty Images

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人はしばしば、新しいビジネスの触媒は情熱だと語る。私の場合はそうではなかった。約20年前、私は情熱からではなく、ビジョンから自分の会社を始めた。私の会社が提供するオンラインフォームは確かに役に立つが、胸が高鳴る類いのものではない。私のビジョンはこうだった――「人々の日常生活を楽にすること」。私たちの製品が担える退屈な作業を自動化することで、それを実現する。テクノロジーとAIが2006年以降、職場を大きく変えてきたが、私たちは自らのビジョンに一貫して忠実であり続けてきた。

今日の変化の激しい世界では、企業のビジョンはこれまで以上に重要である。ハーバード・ビジネス・レビューが古典的な論考で述べたとおり、「ビジョンは、何を中核として守り、どのような未来に向けて前進を促すべきかの指針を与える」。

創業者にとって、ビジョンづくりのプロセスは気の遠くなるものに映るかもしれない。そこでAIの出番である。生成AIツール――たとえばChatGPT――は、単純作業のための道具と結びつけられることが多いが、実は深い思考と創造性を要する、より意味のある仕事――たとえば自社のビジョンの明確化――に対して強力なアシスタントになりうる。確かに一般的ではないかもしれないが、戦略的にAIを使うことが、最終的に自社を差別化するはずだ。

以下に、揺るぎない企業ビジョンの策定を助ける3つのChatGPTプロンプトを示す(訳注:以下のプロンプトは日本語でも機能するが、英語の方が高い精度が得られる場合もある。その場合は原文のプロンプトを貼り付けて、最後に「回答は日本語で」と付け加えることもできる)。

コア・バリュー(中核的価値観)を特定する

ビジョンを構成要素に分解して考え始めるとよい。ハーバード・ビジネス・レビューによれば、企業のビジョンは「コア・イデオロギー(中核理念)」と「想定される将来像」から成る。中核理念はさらに、企業の価値観と存在目的から成り立つ。

価値観とは、企業が何を重んじ、何を神聖視するかである。企業を取り巻く世界は変化し、それが事業運営の方法に影響を与えるかもしれないが、価値観そのものは変わらない。価値観は単に願望的なものではない。企業が何をすべきか、どう感じるべきかに基づくのではなく、企業が「実際に」どのように機能するかを導く原則に基づいている。

ペンと紙(あるいは好みのノートアプリ)を手に取り、自社の価値観を書き出してみよう。たとえば、私の会社の価値観をいくつか挙げるとこうだ。私たちは、効率や完璧さよりも実験と学習を優先する。私たちはユーザーを第一に置く――ユーザーの声に耳を傾け、彼らにより良く奉仕するために意思決定を行う。

そのうえで、次のプロンプトを使い、いくつかの真に率直な価値観を特定できているかを検証するとよい。

プロンプト1:

「自社のコア・バリュー(中核的価値観)を特定している。以下に、私たちが持っていると考える価値観のリストを示す[ここにリストを挿入]。これらをストレステストするのを手伝ってほしい。各価値観について、これが真にコア(困難やコストが生じても手放さないもの)なのか、単なる理想にすぎないのかを判断するための質問をいくつか投げかけてほしい。そのうえで、私の回答に基づき、簡潔な表現で3〜5個の真に本物のコア・バリューに絞り込むのを手伝ってほしい。」

「I’m identifying the core values of my company. Below is a list of values I believe we hold. I’d like you to help me stress-test them. For each value, ask me a few questions to help determine whether this value is truly core (something we would hold onto even if it created difficulty or cost), or if it is simply aspirational. Then, based on my answers, help me refine the list down to 3–5 authentic core values with concise wording.」

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翻訳=酒匂寛

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