宇宙

2025.11.15 14:00

今月、東の夜空に輝く「明るい星」 その正体とは

Shutterstock.com

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東の空に、白く輝く明るい星がある。夜空を見上げれば、周囲の星々を圧倒するその光に思わず目を奪われるはずだ。その正体はなんだろうか。

それほど目につく明るさなら、まず間違いなく惑星だ。そして、2025年11月中旬の夜空に輝く星という条件なら、答えはほぼ2つに絞られる。日が落ちて暗くなった空に見えるなら木星、明け方に光っているのを見つけたなら金星である。

2つの星の見わけかたや、明るさの理由、さらには見つけた星がこの2つ以外である可能性について解説しよう。

「夜半(よわ)の明星」木星

木星は今、夜の帳が下りきってすっかり暗くなった後、東の空に昇ってくる。東京なら午後9時頃だ。夜が更けるにつれて高度を上げて輝くので、晴れていれば見逃すことはないだろう。

木星とふたご座のポルックス、カストル(Shutterstock.com)
木星とふたご座のポルックス、カストル(Shutterstock.com)

現在の明るさは約マイナス2.4等級。とりわけ鮮やかに見えるのは、木星より内側の軌道を公転する地球が、公転速度の遅い木星をまもなく追い越すからだ。2026年1月10日に木星は、地球から見て太陽と正反対の位置関係となる「衝(しょう)」を迎える。

衝の頃の木星は、地球との距離が最も近く、太陽光を反射して光っている面を正面から見ることができる。また、日没頃に東から昇り、日の出と入れ替わるように西に沈むため、夜通し空に輝き続ける。年末に向けて存在感を増し、「クリスマスの星」として夜空に君臨するので、誰にでもすぐ見つけられるようになる。

「明けの明星」金星

タイ最高峰ドイ・インタノン山の日の出と金星(Shutterstock.com)
タイ最高峰ドイ・インタノン山の日の出と金星(Shutterstock.com)

夜明け前の金星は「明けの明星」の名にふさわしい輝きを放つ。黎明の薄明かりの中、東の地平線または水平線のすぐ上に目を向けると、まばゆい一点の光に気づくだろう。白み始めた空で星を探すのは難しいが、金星はもともと木星よりも遥かに明るく、地球から遠ざかっている今でも約マイナス3.9等の明るさを保っている。早朝に東の地平線(水平線)の間際に明るい星が見えたら、まず間違いなく金星だ。

金星がこれほど明るいのは、地球に最も近い惑星であることと、厚い雲の層が太陽光をよく反射するためだ。その結果、金星は太陽系の惑星の中で地球から最も明るく見える惑星となっている。11月中は毎朝少しずつ高度を下げていき、月末には日の出の光の中に沈む。

2025年11月の惑星たち

夜空に輝いているのは木星と金星だけではない。9月21日に「衝」を迎えた土星は、今なお夜空で目を引く存在である。日が落ちてすぐに南東の空に姿を現すので、望遠鏡で観察するには絶好の天体といえる。今は、土星を象徴する環がほぼ真横から見える状態だ。

4000m級の高山の上にきらめく木星と土星(Shutterstock.com)
4000m級の高山の上にきらめく木星と土星(Shutterstock.com)

東の空に見える明るい星が、土星である可能性はあるだろうか? ──可能性はなくはない。ただ、現在の土星の明るさは約1.0等級なので、木星や金星ほど際立つ天体ではない。

また、明るい星とはとてもいえないので見間違えはしないだろうが、11月中に目撃できるかもしれないもう1つの惑星の動きも把握しておきたい。水星である。今月上旬まで夕方の南西の低空に見えていた水星は、月末には日の出前の南東の低空に姿を現す。なお、南西の低空には火星も位置しているが、さらに暗いので観察は難しいだろう。

さて、それでは夜空に見えるあの明るい星は何だろうか? 

夜の帳が下りた後に東の空に輝いているなら、それは木星だ。夜明け前なら、金星である。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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