社会に出て最初の18年間を振り返ってみると、当時の私はまだ自己認識が浅く、自己管理能力もほぼ身につけていなかった。そのため困難に直面したときには、どう対処すれば良いかわからなかった。
そのとき私がいた環境では、ネガティブさを感じることが多かった。たとえばみんなの話し方や上司のリーダーシップのとり方、フィードバックの伝え方、悪い知らせの伝え方など、いろいろな場面でそう感じられた。しかし、どうしたらこうしたネガティブなものをポジティブなものに変えられるか興味はあったものの、その方法はわからなかった。
それから20年経ち、私はマリッジ＆ファミリーセラピストとなり、その後、リーダーシップと自己啓発戦略を学び、キャリアコーチ、またリーダーシップコーチとして活動するようになった。この仕事を通じて私は10年以上にわたり、対人関係やビジネスで、なぜある人はすべてがスムーズに進み成功をおさめ、ある人は自身や組織が望む成果を生み出せないでいるのかを研究してきた。
興味深いことに、ポジティブな思考や行動全般が私たちの人生にさまざまな良い影響を与えることを示す研究は、これまで何年にもわたって数多く存在する。たとえばメイヨークリニックの研究では、「ポジティブ思考」と「楽観主義」が次のような重要かつ有益な変化をもたらす可能性が報告されている。
• 寿命の延長
• うつ病の発症率の低下
• 苦痛や痛みの軽減
• 病気に対する抵抗力の向上
• 精神的・身体的な健康の改善
• 心臓・血管の健康増進、および心血管疾患や脳卒中による死亡リスクの低下
• がん、呼吸器疾患、感染症による死亡リスクの低下
• 試練やストレスに直面した際の対処能力の向上
私は、六大陸にわたる2万人以上の専門家とともに仕事をするなかで、行動や言葉がよりポジティブであることが人生における成功につながり、満足感や充実感を大きく高めることを実感してきた。これはパートナー・夫婦・家族関係など、私生活全般にも当てはまる。
ポジティブ思考は、身体的にも精神的にもさまざまな影響をもたらす。たとえばジョンズ・ホプキンス・メディスンの研究では、「心臓病の家族歴を持つ人でも、前向きな考え方をしている人は悲観的な考え方をしている人に比べ、5年から25年の間に心臓発作やその他の心血管疾患を起こす確率が約30％低い」と報告されている。
結婚生活とキャリアを破壊する「4つの行動」
2000年代はじめ、セラピストとしての研修を受けていた頃、私は「The Seven Principles for Making Marriage Work」という興味深い本を読んだ。その著者である人間関係の専門家ジョン・ゴットマンは、ある4種類のネガティブな行動を続けていると、夫婦関係に深刻な亀裂が生じると指摘している。
彼はこれを聖書における4つの苦難の象徴になぞらえ、「黙示録の4騎士」と呼んでいる。これら4人の不吉な騎士は、「批判」「軽蔑」「防御的態度（相手の指摘に対して言い訳や逆ギレで応じること）」「無視」の順番で家庭内に入り込み、激しい蹄の音を響かせながら結婚生活を破壊していく。
こうした行動は職場でも同様に、対立や問題、破滅の予兆となる。この4騎士を野に放てば、結婚生活が破壊されるのと同じように、あなたのキャリアも破壊されかねない。
