ゴットマンは、幸せな交際・結婚生活をもたらす、誰もが実践できる確かな法則を発見した。それはあなたとパートナーとの間に、「ポジティブで愛情のこもった関わり」が「ネガティブで苦痛な関わり」の少なくとも5倍なければならない、というものだ。この比率が保てなければ、カップルの間に深刻な亀裂が生じる──比率が1対1に近づくほど離婚に至る可能性が高まることを、彼の研究は示しているのだ。ゴットマンはまた、カップルが問題について話し合う様子をほんの数分間観察するだけで、彼らが最終的に離婚するかどうかを不気味なほど正確に予測できると記している。
私はこのポジティブ対ネガティブの比率が、仕事の場面でも当てはまるという事実を実感してきた。コミュニケーションや思考様式において常にネガティブな態度がポジティブな態度を上回る人は、いずれは深刻な挫折や困難に直面し、みずからの潜在能力を最大限に発揮できなくなくなる。
なぜネガティブ思考はこれほど破壊的なのか?
ネガティブさは可能性を抑え込み、行動を制限し、人生にダメージを与える。機会や新たな気づきへの道を開くどころか、壁を築いてしまうのだ。さらに、ネガティブさは周囲に波及し、エスカレートしていく傾向がある。また、その過程で自尊心や信頼、自己肯定感、ひいては成長や成功の機会までも奪ってしまう。
ポジティブ思考がもたらす変化
一方、ポジティブであることは逆の効果をもたらす。それは健全な環境の基盤を作り、問題を解決に導き、あなたを守る力になる。ポジティブな言動をすることで、他者と支え合う仕組みが生まれ、解決や成功への新たな道が開けるのだ。さらに、より深い人間関係や他者への思いやり、自分の居場所にいるという安心感も生まれる。
事実、職場でポジティブな言動を心がけることで、以下に挙げる10のすばらしい変化が起こる。
ポジティブになることで起こる10の変化 《職場編》
1. コミュニケーション能力が向上し、自身のアイデアやとり組みに対する支持を得やすくなる
2. 周囲から「注目すべき」「学ぶべき」、模範的な人物として見られるようになる。
3. 企業文化や職場環境、そして一緒に働く仲間にも、よりポジティブな影響力を発揮できるようになる(ポジティブな言葉や態度には、人を磁石のように惹きつける力がある)
4. ネガティブな出来事に対する「免疫力」が高まり、回復力が増し、早く立ち直れるようになる
5. 周囲の人も、より柔軟で前向きなアプローチを探し、実践する勇気を持てるようになる
6. 自分自身や他者を擁護・代弁する能力が増し、それがさらなる機会を運んでくる
7. 破壊的な競争ではなく、協調的な成功への道が開かれる
8. 信頼と支援に値する人物としての評判を築ける
9. 他者が絶望と感じる局面でも、可能性を見出すことができるようになる
10. 失敗にとらわれず、自分の才能や達成したことに目を向け、能力を生かせるようになる


