リーダーシップ

2025.11.15 12:00

イノベーションを生み出すマインドセットを、どう獲得するか

patpitchaya / Getty Images

破壊的革新のマインドセットを支えるツール

マインドセットは物事の基本だが、魔法ではない。チームに対して、「枠にとらわれないで思考せよ」と単に指示するだけでは十分ではない。今日では、個人や組織が、より体系的かつ効果的に望ましいマインドセットを育む上で役立つツールやフレームワークが存在する。

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デザイン思考

デザイン思考は、ソリューションに飛びつく前に、ユーザーのニーズを深く理解することで、共感的な問題解決を促す。IDEO、IBM、SAPといった企業は、この手法をイノベーションプロセスに組み込み、実際の人間の行動に共鳴する型破りなアイデアを引き出している。これは、人間中心の洞察を、実行可能なアイデアへと変換するのに極めて効果的なシステムだ。

リーン・スタートアップ手法

リーン・スタートアップ手法は、チームが迅速に動き、より速く学ぶことを支援する。実験、MVP(minimum viable products:最小限の機能を備えた製品)、検証された学習を強調することで、企業は、失敗のコストを低減させながらリスクを取ることを促進している。DropboxやAirbnbは、これらの原則を活用し、拡大前にアイデアをテストしたことで知られる。この手法は、意思決定や行動に移れない「分析マヒ症候群」や、何年もかかる「ウォーターフォール型プロジェクト」(作業内容を複数フェーズに分割し、上から順番に進めていくプロジェクト管理手法)への対策にもなる。

アジャイル開発やDevOps開発の実践

アジャイル開発やDevOps開発の実践は、迅速な対応とイテレーション(設計、開発、テストを短期間で繰り返し実行する手法)を重視する文化を醸成する。急速に変化する環境においては、こうした文化が不可欠だ。クラウドネイティブなツール群やAI支援開発との組み合わせによって、着想から展開までのギャップは縮小し続けている。

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第一原理思考

第一原理思考は、イーロン・マスクによって有名になった。これは、好奇心のための究極のツールで、問題を、その最も基本的かつ否定できない真実にまで分解することを含む。マスクは、「どうすればより安価なロケットを作れるか?」とは尋ねなかった。彼はこう尋ねた。「ロケットは何でできているか? アルミニウム、銅、チタンだ。それらの材料の現物価格は? 原材料費はロケットの価格の約2%だ」。残りの98%に挑む唯一の方法は、既存産業の前提──主に、ロケットは使い捨てであるべきだという考え──を否定することだった。

シナリオ・プランニングと未来思考

シナリオ・プランニングと未来思考は、目先の枠を超えてメンタルモデルを拡張する。Shell(シェル)や世界経済フォーラムのような組織は、これらを用いて現実味のある未来のシナリオを構想し、強靭で先を見据えた戦略を構築している。

ただし、ツールでできることには限界がある。真の加速器となるのは、好奇心を称え、知的な失敗を許容し、多様な声に対して、現状に挑戦する力を与える文化だ。

イノベーションに必要なマインドセット

刺激的でディスラプティブなアイデアについて我々は、スタートアップやその他の組織に内在すると思い込むこともあるが、これらは偶然に生まれるものではない。それらは、あらゆる革新的な取り組みに不可欠な創造性、学習、成長、そしてリスクを取ることを受け入れる人々によって支えられている。

自らの現状を評価し、マインドセットを変え、その革新的な文化を自分が率いる人々に浸透させることで、組織が先駆的な価値を見いだす機会を日々得られるよう、位置づけることができる。

forbes.com 原文

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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