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2025.11.17 15:00

「貨物輸送の未来にとって転換点」運転席がない自動運転トラック企業Einride、SPAC上場

2022年3月、 SXSWカンファレンスに展示されたEinride ABの自動運転トラック(Photo by Hutton Supancic/Getty Images for SXSW)

短距離B2B自動運転トラック市場で2強に、EinrideとGatikが競争を深める

米国は現在、自動運転トラックの開発と導入における中心地となっている。この分野では、筆者が把握する範囲で、長距離輸送に特化した企業が8社、短距離に特化した企業が2社、そして物流ヤード内や私道での産業用途など、公道外で運行する企業が6社ある。そして、短距離のB2B(企業間輸送)領域のプレーヤーはEinrideとGatik(ガティック)の2社のみだ。

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Gatikは、いすゞとの緊密なパートナーシップに基づき車両を調達している。一方でEinrideはメーカーとの協業を必須としておらず、自社で車両を製造するだけでなく、市場に出回る既存トラックへの後付け改造(レトロフィット)も手がけている。つまり、この2社の「メーカーに技術を供給するビジネスモデル」と「独自車両を製造し市場投入するモデル」の対比は、非常に興味深いものといえる。

Einrideが米国で展開中の唯一のオペレーションは、GEアプライアンス向けのもので、低速運行かつ公道のごく限られた区間にとどまる。そのため、現時点で同社とGatikとの競合は限定的だ。Gatikは、制限速度に従ってあらゆる種類のローカル道路を走行している。しかし、EinrideがSPACによる資本注入を受けて事業規模を拡大すれば、Gatikと正面から競う展開を模索する可能性がある。

先行するGatik、ウォルマートやロブローズと約55億円の契約実績

ただし、それは容易ではない。Gatikはこの分野で大きく先行している。

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Gatikは2025年初め、スケーラブルな「Version 3」プラットフォームを年内にドライバーレス運行へ移行させると発表した。しかし同社が、ドライバーレス運行に挑むのはこれが初めてではない。2021年に同社は、旧世代のプラットフォームでウォルマート向けの短距離輸送を完全無人で開始していた。

それ以降、Gatikはクローガーやロブローズ、ジョージア・パシフィックなどの多くの企業に輸送サービスを提供してきた。また、ロブローズとは長年にわたる協業を経て、同社は最近300店舗を超える拠点への配送頻度と応答性を引き上げる新契約を発表した。この取り組みでGatikは、次世代センサー群を搭載した自動運転トラックを2025年末までに20台投入し、2026年末までに30台を導入する予定だ。

ロブローズによるGatikの自動運転サービス契約の総契約価値(TCV)は約5000万カナダドル(約55億円。1カナダドル=110円換算)に達する。しかも、これは同社の数多くの契約のうちの1つにすぎない。

もっとも、短距離のB2B輸送市場は非常に大きく、複数のプレーヤーが参入できる余地がある。Einrideへの取材によれば、同社にとって2026年は複数市場でドライバーレス輸送サービスを展開するうえでの転換点になる可能性が高い。こうした展開では、どの運行領域をどう最適化するかが競争力の鍵を握ることになるだろう。

自動運転貨物SPACの上場案件が拡大、各社の次の展開に注目が集まる

今後数カ月は注目すべき動きが続きそうだ。自動運転トラック分野のSPACでは、Kodiak(コディアック)が9月に上場し、PlusAI(プラスAI)のSPAC取引も2026年初めに完了する見通しだ。Einrideはこの新たな「上場企業のクラブ」に加わることになり、2026年の今ごろには複数の仲間が加わっている可能性が高い。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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