モビリティ

2025.11.17 15:00

「貨物輸送の未来にとって転換点」運転席がない自動運転トラック企業Einride、SPAC上場

2022年3月、 SXSWカンファレンスに展示されたEinride ABの自動運転トラック(Photo by Hutton Supancic/Getty Images for SXSW)

2022年3月、 SXSWカンファレンスに展示されたEinride ABの自動運転トラック(Photo by Hutton Supancic/Getty Images for SXSW)

情報開示:筆者リチャード・ビショップは、本稿に登場する企業のうち、GatikとPlusAIのアドバイザーもしくは株式保有者となっている。

物流業界の電動化と自動運転への移行を牽引するテクノロジー企業Einride AB(アインライドAB)と特別買収目的会社(SPAC)の Legato Merger Corp. IIIは11月12日、Einrideをニューヨーク証券取引所に上場させることを目的とした最終的な事業統合契約を締結したと発表した。

EinrideがSPAC上場で資金調達、自動運転の貨物EVで物流を変える

今回の取引は、「自動運転かつ電動化された貨物輸送の技術プラットフォーム」が米国公開市場に登場する初めての事例と考えられる。

2016年創業のスウェーデンのストックホルムに本社を置くEinrideは、これまで7カ国で自社の技術プラットフォームと運用ノウハウを展開し、商業面で成果を上げてきた。この取引の完了後、Einrideは25社超の企業顧客との事業を継続し、現在約200台の電動トラック(EVトラック)の保有車両を運用・拡大しながら、米国のGEアプライアンスやスウェーデン最大のオンライン薬局Apoteaなどの既存顧客と進める自動運転システムの導入を拡大していく見通しだ。

同社は現在、北米、欧州、中東の各地域で顧客にサービスを提供している。Einrideによれば、同社はグローバル企業の物流を、費用対効果の高い形で電動化と自動運転へ移行させる支援を行ってきたという。

FCaaSとSaaSの2本柱で成長、電動自動運転で物流を拡大

Einrideのビジネスモデルは、「サービスとしての輸送キャパシティ(FCaaS)」と「サービスとしてのソフトウェア(SaaS)」の2本柱で構成されており、自社開発の人工知能(AI)搭載プラットフォームが電動化と自動運転の運用に必要なエコシステム全体を統合的に管理している。

FCaaSモデルで同社は、ドライバーが運転する大型商用EVトラックと、自動運転の大型EVトラックの両方を用いて、エンドツーエンドの貨物輸送サービスを提供する。SaaSモデルにおいては、運用計画向けのAIソフトウェアや、自社開発の自動運転システムを外部にライセンス提供し、複数の収益源と拡張性を確保する。

Einrideによれば、同社は米国での事業基盤を広げ、顧客への提供体制を強化しているという。米国は同社にとって2番目に大きな市場であり、今後数年はこの市場への投資を続け、自動運転システムの導入加速や国内ハードウェアのサプライチェーン構築、研究開発の強化、主要な物流・技術拠点での雇用創出に取り組む計画だ。

1700時間超のドライバーレス運行、累計約1770万キロのEV走行、35万件超の出荷

また、商業面での裏づけとなる成果として、同社は1700時間超のドライバーレス運行、累計約1770万キロのEV走行、35万件超の出荷を挙げている。現在の年間経常収益(ARR)は約4500万ドル(約69億円。1ドル=154円換算)で、契約ベースのARR総額は6500万ドル(約100億円)に達している。Einrideは、輸送分野の世界的大手を顧客に抱えつつこうした成果を上げたことを、「商業面での強固な裏づけ」と位置づけている。

Einrideは、電動化と自動運転の導入拡大に向けて顧客と策定した「共同事業計画」に基づき、長期的に年間8億ドル(約1232億円)超の潜在的なARR基盤を確保している。この計画では、電動化と自動運転の展開を継続的に拡大するためのスケーリング計画の詳細が説明されている。また、運用面で同社は電動貨物輸送の信頼性と規模を裏付ける指標として、オンタイム率が99.7%であることを強調している。

またEinrideは、一連のAI計画ツールを活用し、顧客需要と車両運行の最適化をマッチングさせている。その結果、ディーゼル車を基準とした場合に、車両群全体の総保有コスト(TCO)を約13%削減した実績を示している。加えて、自動運転貨物ソリューションの導入によってさらなるコスト削減が見込めるほか、エネルギー使用量の予測精度も約90%に達している。

Einrideの統合プラットフォームは、充電インフラの最適化からバッテリー管理システムまでを一括で管理する。この仕組みにより、同社は平均4.5年、最低ボリュームを保証したテイク・オア・ペイ契約(買い手が契約量の一部を引き取らなかった場合でも、その分の代金全額を支払う義務を負う契約)のもとでフルサービスの貨物輸送を提供し、収益の見通しとキャッシュフローの予測可能性を高めている。

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翻訳=上田裕資

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