火星は全球的な磁場(内部磁場によるダイナモ作用)を40億年前に失ったと考えられている。ブルーとゴールドは初期においては同じ楕円軌道を航行し、後期にはそれぞれの軌道が交わるような楕円軌道を航行する。火星の地殻に局所的に残存する磁場、上層大気、電離層などを6カ月間にわたって観測し、それらのデータを合成することで、時速160万kmで吹き付ける太陽風に対して火星大気がどのように反応するかを立体的に画像化する。
2機編隊の最大のメリットは、同一エリアをこれまでより長時間観測できる点にあり、完成した立体画像は過去に例のないものになるという。また、このデータは将来的に予定される有人火星探査機において、宇宙飛行士との通信や生命を守るためのカギにもなる。
ニューグレンが米国の月探査を早める?
今回のニューグレンの打ち上げが成功したことで、ブルーオリジンの有人月面着陸が早まるかもしれない。
2027年に予定される「アルテミス3」では、クルーを月面に送迎する有人月面着陸機として、スペースXの「スターシップHLS」が選定されている。しかし、その開発が大幅に遅延していることから、NASA長官代行ショーン・ダフィー氏は10月20日、アルテミス3の機体選定に関する競争入札を改めて行うと発表した。トランプ大統領の就任期間は2029年1月20日までであり、それまでに米国人を月面に立たせたいとトランプとダフィーは考えている。また、中国は2030年に有人月面着陸を予定しているが、それを前倒しする可能性があり、月での覇権を守りたい米国としては、何としても中国より先に有人月面着陸を成功させる責務に追われている。
スターシップHLSの開発が遅れた場合の代替機を用意できるのは、実質的にはブルーオリジンしかない。ブルーオリジンの有人月面輸送機「ブルームーンMK2」は、2030年に予定される「アルテミスV」に選定されているものの、同機を2027年のアルテミス3に間に合わせることは現実的ではない。しかしブルーオリジンは無人月面輸送機「ブルームーンMK1」の開発にも着手しており、その飛行テストを2026年初頭に予定している。ブルーオリジンではこのMK1型を有人仕様に改造しようとしており、ダフィー氏からの要請に応え、すでに改修作業に着手している。
今回の打ち上げの成功によって、ニューグレンの運用には目処が付いた。もしスターシップに先駆けて有人仕様のブルームーンMK1が完成すれば、55年振りの有人月面着陸はブルーオリジンが実施することになる。


