宇宙

2025.11.14 10:30

ベゾスの大型ロケット「ニューグレン」が自律着陸に成功、NASA火星探査機を軌道へ投入

(c)Blue Origin

ブルーオリジンでは、ブースターを25回以上再利用することで打ち上げコストの低減を図る。また、第1段エンジンの燃料に、液体水素よりも安価な液化メタンを採用していることもコスト低減につながる。現時点で打ち上げにかかる費用や料金は公開されていないが、質量535kg(燃料含)のエスカペードを打ち上げるNASAとの契約金が2000万ドル(約30億円)であることから、そのコストが1kgあたり3万7000ドル(約560万円)と試算できる。

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ただし、今回のペイロードはエスカペードだけであり、ニューグレンの打ち上げ能力の3%しか活用していない。そのため今後はさらに打ち上げコストは低下すると思われる。ニューグレンは低地球軌道(LEO)に45トン、静止トランスファー軌道(GTO)に13トンのペイロード(積載物)を投入する能力を持つ。

史上初、2機編隊の火星探査機「エスカペード」

本来であれば火星探査機「エスカペード」は、ニューグレン1号機によって今年1月に打ち上げられるはずだった。しかし、ニューグレンの開発が遅延した結果、この2号機に搭載された。火星に探査機を送り込むには、26カ月月に一度訪れる打ち上げウィンドウ(打ち上げ可能期間)に合わせる必要があるが、現在はそのタイミングから外れている。そのためエスカペードは直接火星には向かわず、太陽と地球の引力が釣り合うラグランジュ点L2にいったん留まる。その後、2026年11月初旬に地球近傍に戻ると、その重力を利用して加速したうえで火星に向かう。こうした軌道を経て火星へ向かうのは、エスカペードが史上初となる。

火星の周回軌道をランデブー航行するエスカペードのイメージ。エスカペードは「冒険」を意味する (c)Rocket Lab USA/UC Berkeley
火星の周回軌道をランデブー航行するエスカペードのイメージ。エスカペードは「冒険」を意味する (c)Rocket Lab USA/UC Berkeley

エスカペードは同型の2機の探査機で構成されるが、これも火星探査機としては初めての形態となる。同プロジェクトはカリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所(以後、SSL)によって考案され、2019年にNASAの小型惑星探査機ミッション「SIMPLEx」に選定されたが、その全体予算は火星探査としては格安の7850万ドル(約117億7500円)。そのうちエスカペードを運用するSSLと、機体を開発・製造したロケットラボに5500万ドル(約82億5000万円)が割り当てられた。「ブルー」と「ゴールド」という2機のニックネームはSSLの校章に由来する。

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フロリダ州のアストロテック宇宙運用施設のクリーンルームに並ぶ2機のエスカペード探査機、「ブルー」と「ゴールド」。2025年9月撮影 (c)Rocket Lab
フロリダ州のアストロテック宇宙運用施設のクリーンルームに並ぶ2機のエスカペード探査機、「ブルー」と「ゴールド」。2025年9月撮影 (c)Rocket Lab
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編集=安井克至

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