サイエンス

2025.11.14 18:00

奇跡的に再発見された「絶滅した」と思われていた生物4種

Getty Images

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「絶滅」と判断された生物種がすべて、本当に絶滅したわけではない。生物学には、一度は絶滅したと考えられたものの、のちに「セカンドチャンス」をつかんだこのような種をさす、「ラザロ分類群」という言葉がある(Lazarus taxa:新約聖書の「ラザロの復活」にちなむ名称)。

この言葉が意味するのは、化石記録から消えた、あるいは近年の観察記録が途絶えた後、数十年、数百年、時には数千年が経過してから、「あり得ないような復活」を遂げた生物だ。

こうした再発見は、絶滅というものが、科学的事実というよりも、時として人間の見方の問題であることを私たちに示している(少なくとも観察的な意味においては)。こうした再発見の事例のうち、とりわけ驚異的なものを4つ、以下に紹介していこう。どれも、生存や、科学が備えるべき謙虚さに関する深い真実を垣間見させてくれるものだ。

1. シーラカンス:歴史に忘れられた魚 

シーラカンス(Shutterstock.com)
シーラカンス(Shutterstock.com)

再発見により、科学界の定説が根底から揺らいだ種といえば、シーラカンス(Latimeria chalumnae)をおいてほかにない。研究によれば、肉鰭類(にくきるい)の一員であるこの魚は、長いあいだ化石だけが知られ、約6600万年前に絶滅したと考えられていた。

この定説は、1938年に完膚なきまでに粉砕された。南アフリカの1隻のトロール漁船が、東ケープ州のチャルムナ川の河口付近で、偶然1匹の奇妙な魚を引き上げたのだ。まもなく、博物館の学芸員だったマージョリー・コートニー=ラティマーは、この魚の古代めいた奇妙な風貌に目を留め、魚類学者のJ・L・B・スミスに連絡をとった。スミスはのちに、この驚愕の発見を裏づけた。

シーラカンスの系統は、4億年以上前のデボン紀に起源をもつ。彼らは、のちに両生類を──ひいてはヒトを──生み出した初期魚類の親戚にあたる。現代のシーラカンスは、東アフリカとインドネシアの沿岸にある深海洞窟に生息している。生息海域の水深はふつう150~700mで、水温は安定しており、光は乏しい。

シーラカンスが生物学的に特異である点は、信じがたいほどユニークな解剖学的特徴にある。肉質のヒレは左右交互に、まるで「歩く」ように動き、四足動物の歩様を思わせる。また、彼らは痕跡的な肺をもつが、これは彼らの祖先が、浅く酸素の乏しい水域に進出していた時の名残だ(約6550万年前[中生代白亜紀末]の大量絶滅[K-Pg境界]後、深海で生息していた現生種が残ったと考えられている)。

最近行われた放射性炭素年代測定によれば、シーラカンスの寿命は100年におよび、メスは生後50年でようやく性成熟を迎える。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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