経営・戦略

2025.11.20 07:15

10月からブラックフライデー? セールの早期化に翻弄される消費者のリアル

Getty Images

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このごろ、毎年恒例のセール開始の時期がどんどん早くなり長期化している。先行セールと本番セールが入り乱れ、いつが買いどきなのかわからなくなった。はたしてセールの早期化は、本当に消費者のお得になっているのだろうか。

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8月の猛暑の盛りに小売店にハロウィングッズが並んだり、その隣ではお節料理の予約を受け付けていたりと、季節感など吹き飛んでしまうほど小売り業界は物事がどんどん早期化している。セールもしかり。本来、11月第4週の金曜日から始まるはずのブラックフライデーは世界的に早期化が進み、アメリカでは10月スタートが定番になった。日本でも、Amazonのプライム感謝祭は10月上旬開始だ。さらに先行セールもある。

手作り品に的をしぼったECサイト「あるる」は、全国の20〜60代の男女200人を対象に、セール時期の購買行動に関する調査を実施した。それによると、セールを意識して買い物をする人は、「つねに意識している」が31.5パーセント、「たまに意識している」が44.5パーセントと、8割近くにのぼった。

セール期間が早まることで、お得に買い物ができるチャンスが増えるわけだが、それによって買いたいものをセールまで待つことが増えたかを尋ねると、意外にも増えたという人は21.5パーセントで、75パーセントはあまり変わらないと答えている。

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セールの早期化をどう感じるかを聞くと、35パーセントは「いつが本番かわからなくなった」と答えた。また28パーセントは「欲しい時期にはもう終わっている」と感じている。なになにセールに加えてその先行セールがあり、さらにタイムセールなんかも加わって、もはや人間には追跡不可能なレベルに達している。

19パーセントの人は、早く買えることを歓迎しているが、18パーセントは早すぎて追いつけないと感じるなど賛否が分かれて混乱状態だ。今欲しいものはできるだけすぐ手に入れたいし、なるべく安く買いたい。だがそれらを総合したベストな買いどきの算出は判断は難しい。「あるる」はそうした人たちを「お得疲れ」した「買い物迷子」と呼んでいる。

セールが早まっても、75パーセントの人たちの消費行動は変化していない。その一方で買い物迷子が右往左往している。少なくともこの調査からは、セールの早期化はかならずしも購買促進にはつながっていないと「あるる」は分析している。販売者側にとって重要なのは、セールを早めることではなく、「なぜ今買うべきなのか」を明確に伝える販促設計とのことだ。セール期間が延びて安く買えるチャンスが増えるのはありがたいが、買った翌日にもっと安くなるとか、そういうのは勘弁してもらいたい。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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