『デス・バイ・ライトニング』(Death by Lightning)がどんな作品か、当初は筆者もよく分かっていなかった。アメリカ合衆国第20代大統領ジェームズ・ガーフィールドの暗殺を扱う、現在ネットフリックス1位の全4話のドラマだ。いかにもお堅い歴史劇だと思うかもしれないが、そうではない。
『デス・バイ・ライトニング』はユーモアとドラマを巧みにブレンドしている。マイケル・シャノンがほとんど不正と無縁のガーフィールドを演じ、『サクセッション』でトム・ワムズガンズを演じたマシュー・マクファディンが、同じようなキャラクターを彷彿とさせるチャールズ・ギトー(最終的にガーフィールドを暗殺する男)を演じている。
以下、歴史上の出来事などネタバレを含んでいることを断っておく。
ギトーは、上院議員や実力者たちに取り入ろうと政治の世界に足を踏み入れる(少なくともそのつもりでいる)詐欺師という、魅力的な人物像として描かれている。本人は善意で助けたいと本気で思っているのだが、結局はどの部屋からも追い出されてしまう。やがて幻滅した彼は怒りの矛先をガーフィールドに向け、副大統領のチェスター・アーサー(ニック・オファーマンが演じる)の運を押し上げるためにガーフィールドを殺害するのだ。ギトーはアーサーを友人だと信じていたが、実際にはそうではなかった。
主演以外のキャストも総じて素晴らしい。オファーマン、ベティ・ギルピン、シェイ・ウィガム、ブラッドリー・ウィットフォードらが名を連ねる。全4話の「歴史的ミニイベント」作品で、引き込まれる作りであり、批評家に高く評価されているのも納得である。
レビューが54本出揃った時点で、『デス・バイ・ライトニング』はRotten Tomatoes(映画・テレビのレビュー集計サイト)で認定フレッシュの91%を記録している。観客スコアもほぼ同じで89%だ。全体で4時間未満と比較的見やすく、私は昨日まとめて一気に観た。多くの歴史劇と同様、結末が見えているとしても、そこに至る過程の描き方が緊張感に満ちており、これまで耳にしたことのない話についてもいくつか学ぶことになる。私自身、社会科の授業で「暗殺された大統領」の一覧にガーフィールドの名があったこと以外は知らなかった。
正直なところ、『デス・バイ・ライトニング』がネットフリックスでここまで好調なのは少し意外である。ただし現在の競合は『イカゲーム:ザ・チャレンジ』(Squid Game: The Challenge)、『U.S.マリーンズ』(Marines)、『こんなのみんなイヤ!』(Nobody Wants This)で、公開から3週間が経過しており、本作にとっては余裕が生まれている。『ストレンジャー・シングス:未知の世界』(Stranger Things)は、今後2週間ほどでシーズン5が戻ってくるのに合わせてランキングを上げ始めており、ネットフリックスはそれに先立って大型の新作投入を抑えるはずだ。あのシリーズは爆弾のような衝撃で到来するからだ。
『デス・バイ・ライトニング』は、こうした作品が普段あまり得意でない人にも強く勧めたい。笑いどころがあり、名演が詰まっていて、驚くほど多くのことを教えてくれる。歴史的事実に一定の改変があるのは間違いないとしてもだ。



